FABE分析

FABE分析とは:提案、商品設計フレームワーク

「FABE分析」を知っていますか。FABE分析は、提案書コンセプト作成、営業商談、商品企画などに使える便利なフレームワークです。

主催している営業研修でも一番人気のフレームワーク、FABE分析を解説します。

1.FABE分析(ファブ分析)とは

FABEとは、Feature、Advantage、Benefit、Evidenceの頭文字をとったものでです。FABE分析を使うとシンプルにコンセプトが整理できます。

FABEの4項目について次に説明します。

  • Feature (特徴):本提案の特徴、概要説明
  • Advantage (優位性):優位性
  • Benefit (顧客便益):顧客の得られるメリット
  • Evidence(証拠):提案を裏付けるデータ、実績等

プレゼンには「特徴、概要」「優位性」「顧客便益、顧客メリット」「証拠」の4つの要素が必要と言われると直感的にも分かりやすいと思います。FABE分析は、数あるフレームワークの中でも覚えやすい、理解しやすいのが特徴です。

1-1.FABE分析のFeature(特徴)

FABE分析のFeatureでは、商品や提案の概要を説明します。提案内容の1,2行程度で示します。

FABE分析:Feature

Featureとは、これから説明する提案や商品をひと言で説明したものです。提案書なら1スライド目に当たります。

Featureの役割

FABE分析のFeatureの役割は、これから説明するものの概要・全体像のイメージを相手の頭にセットすること。聴き手(読み手)は、始めに概要・全体像を認識することで、その後の説明がスッと頭に入るようになります。

1-2.FABE分析のAdvantage(優位性)

FABE分析のAdvantageは優位性です。例えば商品提案であれば、相手は必ず競合商品と比較します。提案では、競合優位性を示す必要があります。

FABE分析のAdvantage

FABE分析は、図のようにFeatureをAdvantage(優位性)とBenefit(顧客便益)の2つで支える構造になっています。

Advantage作成のコツ①:優位性とは比較すること

提案書やプレゼンの目的は相手を動かすこと、相手に選ばれることです。選ばれるためには優位性の説明が必要です。

FABE分析のAdvantage作成のポイントは比較すること。「選ばれること」は他の提案、商品と比べて「比較優位にあること」です。よくある間違いが、性能などを単体で表現してしまうこと。「本商品は、類似製品Aに比べて性能が30%高い」と比較対象を示す必要があります。

Advantage作成のコツ②:比較対象は顧客目線

FABE分析のAdvantage作成には比較対象が必要です。このときの注意点が顧客目線で比較対象を選ぶことです。例えば、「当社従来製品より性能50%向上」という表現はAdvantageとして正しいでしょうか。これがAdvantageとして正しいのは「顧客が当社従来製品と比較している場合だけ」です。

例えば、「顧客が現在他社商品を利用しておりリプレース検討中」なら、他社商品と比べないと比較優位になりません。Advantage作成には「顧客が何を欲しているか」「何と比較しているか」の正しい理解が必須です。

1-3.FABE分析のBenefit(顧客便益、顧客メリット)

FABE分析のBefinetは、顧客便益/顧客メリットです。商品であれば、その商品を購入したら顧客にどんなメリットをもたらすかを端的に説明します。

FABE分析のBenefit

FABE分析は、図のようにFeatureをAdvantage(優位性)とBenefit(顧客便益)の2つで支える構造になっています。提案が受けいれられるにはAdvantageとBenefitの両方が必要です。競合優位性があっても顧客にメリットがなければ採用されません。

Benefit作成のコツ①:メリットは顧客目線

メリットは顧客目線で考える必要があります。よくある間違いが商品の特徴や性能をBenefitとして書いてしまうこと。商品の特徴や性能は実現手段です。FABE分析のBenefitとは、実現手段によってもたらされる顧客メリットです。

Benefit作成のコツ②:BtoBの顧客メリットは定量化

BtoB向け提案ではBenefit(顧客メリット)の定量化が必要です。よりストレートには顧客メリットが金額換算できること。ある商品購入することで、いくらコストが下がるか、いくら売上が上がるか、を定量的に示します。

1-4.FABE分析のEvidence(証拠)

FABE分析のEvidenceとは証拠です。提案では概要説明のあと、優位性、顧客メリットを示して興味をいただかせます。AdvantageやBenefitの根拠となるのがEvidenceです。証拠が有って初めて相手は提案内容を信頼します。

FABE分析のEvidence

FABE分析のEvidenceは図のように構造的に捉えることが有効です。FABEの4項目を並列に捉えるとEvidenceは1つ(1セット)に思えます。FABE分析を構造化すると、「Advantageに対応するEvidence」と「Benefitに対応するEvidence」の2つの証拠が必要なことがわかります。

Evidence作成のコツ①:証拠を集める

FABE分析のEvidence作成のコツは証拠を集めること。当たり前のようですが、よくある間違いが今の手持ちのEvidenceで提案を構成すること。今あるEvidenceを使うのではなく、必要なEvidenceを集める(作る)姿勢が必要です。

  1. 顧客ニーズの理解
  2. どのようなBenefit、Advantageを示せば顧客に提案が受け入れられるか検討
  3. Benefit、Advantageの根拠となるEvidenceを揃える
  4. 手持ちのEvidenceで足りなければ新たに探す、作りに行く

Evidence作成のコツ②:導入事例を活用する

FABE分析のEvidenceとして使いやすいのが導入事例です。企業であれば、特に同業他社の事例に関心があります。営業であれば日頃から担当以外の顧客まで含め導入事例を語れるようにしておくべきです。採用有無だけでなく、「何の課題解決のために採用されたか?」「導入前と導入後でどんな変化があったか?」を説明できると顧客は前のめりで話を聞いてくれます。

2.FABE分析具体例

FABE分析の具体例を示します。具体例を見ることでFABE分析の完成イメージを掴みます。

2-1.FABE分析具体例①「ユニクロヒートテックシャツ」

「ユニクロヒートテックシャツ」のFABE分析具体例です。

FABE>FABE分析の内容
Feature・東レとの共同開発した繊維を使った薄いのにとても暖かいシャツです
Advantage・普通のシャツを3枚重ね着したくらいの暖かさがあります
Benefit・ヒートテックシャツとコートを着ただけで外に出れます
Evidence・表面積の大きな繊維を使用。汗がすぐ乾き体温低下を抑えます
・保温性はもちろん特殊な綿で素材そのものが発熱します

2-2.FABE分析具体例②「BALMUDA The Toaster」

「BALMUDA The Toaster」のFABE分析具体例です。

FABE>FABE分析の内容
Feature・スチームテクノロジーと温度制御により、窯から出したばかりの焼きたての味を再現するトースターです。
Advantage・トースト、クロワッサンなど、パンの種類ごと1秒単位の温度管理で感動の焼き上がりを実現
Benefit・トースターで温めると黒く焦げてしまいやすいクロワッサン。BALMUDA The Toasterでは、焦がさず表面はサクッと焼き上げ、窯から出したばかりの焼きたてのクロワッサンを再現。香りたつバターと積層されたパイ生地。クロワッサン本来のおいしさを自宅でも楽しむことができます
Evidence・最高の焼き上がり実現のため1000時間の焼き上げ実験でパラメータを調整
バルミューダホームページより引用

2-3.FABE分析具体例③「Netflix」

「Netflix」のFABE分析具体例です。

FABE>FABE分析の内容
Feature・Netflixは、世界最大の月額定額制動画配信サービスです
Advantage・通常の映画やドラマはもちろんオリジナル映像が充実しています
Benefit・通勤電車があなた一人の映画館になります
Evidence・Netflixは2020年に2兆円近くを新しいコンテンツに投資する予定です

3.いつFABE分析を使うか

FABE分析は汎用性の高いフレームワークです。FABE分析の代表的な活用場面は、提案書やパンフレット作成です。

3-1.FABE分析で提案書を作る

ビジネスで最もFABE分析の活用場面が多いのが、提案書作成(プレゼンテーション)でしょう。提案書の具体的内容を検討する前にFABE分析でコンセプトを整理します。

提案書作成プロセスを構造的にまとめ、FABE分析の位置づけを表したのが次の図です。

FABE分析と提案書

提案書作成で最初に考えるのは「目的」です。提案により誰が、どうなるか?相手を動かすことを目標に据えます。

次は、目的達成のための提案コンセプトをFABEで整理します。

FABE分析で整理したコンセプトを相手に伝えるプレゼンストーリーを作ります。ストーリーは、パワーポイントのスライドのメッセージの集まりです。各メッセージがわかりやすく、納得できる論理展開になっているのが良いストーリーの条件です。

最後はストーリーを資料に落とし込みます。資料作成プロセスでは、直接FABEを使うことはありませんが、Feature、Advantage、Benefit、Evidenceの各要素がきちんと資料に表現されているか、チェックリストとして使うと良いでしょう。

3-2.FABE分析でパンフレットを作る

FABE分析で大きく改善できる営業ツールの一つがパンフレットです。

一般的に、パンフレットは提案書に比べ少ない情報量で商品・サービスの魅力を伝える必要があります。よって、FABE分析でしっかりコンセプトを決めてからパンフレットの中身を作ります。

新規作成時はもちろんパンフレット改訂時にFABEが表現されているかチェックします。筆者は、「受け取る立場」「他の人が作成したものを説明する立場」「自分自身で作成する立場」で1000種類以上のパンフレットを見てきました。その経験からすると、「FABEの内容が弱い」はまだ良い方です。多くのパンフレットではFABEの4要素のいくつかがまるごと抜けています。

多くのパンフレットはFABE分析が甘い。逆に言うと、オーソドックスなFABE分析をしっかり行うだけで他社より顧客に刺さるパンフレットが作成出来ます。

FABE分析が甘いパンフレットの典型例

FABE分析でのチェックが甘いパンフレットの典型例をまとめます。

  • キャッチーな言葉を優先しすぎて、商品の内容、メリットがわからない
  • 商品仕様の羅列で、FABEが欠けている
  • 商品のすごさは記載されているが客観的根拠(Evidence)がない
  • 商品性能の高さ、機能の豊富さのみで、それによって顧客がどんなメリットを得るか表現されていない

(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原一司)


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