営業ヒアリング

【顧客ヒアリングのコツ】営業質問機会を5倍にする方法

「あなたは顧客ヒアリングが得意ですか?」
「営業質問機会を増やす方法を知っていますか?」

営業講師の海老原です。

BtoB営業の最重要活動は顧客ヒアリングです。そのために必要なのが営業質問力です。ここで意外と見落とされているのが、商談で営業質問機会自体を増やすことが可能なこと。顧客ヒアリングの成果は、質問力(質)×営業質問回数(量)です。

筆者は自分のアカウントあるいはメンバーの助っ人として過去1000件以上の営業商談に携わりました。多くの場合、案件を具体化させる訪問チャンスは1回だけ。このため1回当りの質問の質を高めるのはもちろん、如何に営業質問の機会を増やせるかを研究してきました。

その結果営業質問機会自体を最大5倍に増やせる方法を確立しました。実務で培った顧客ヒアリングのコツを解説します。

1.王道の営業質問フレームワークBANT

顧客ヒアリングでの王道の営業質問フレームワークがBANT(バント)です。BANTとは、Budget,Authority,Needs,Time frameの頭文字をとった略語で、「予算」「決裁権」「ニーズ」「導入時期」の4つの営業質問項目です。

BANTは、営業質問の必須項目をバランス良く押さえたフレームワークでです。シンプルで使い易くまずはBANTだけ完全にマスターすることをおすすめします。


王道の営業質問フレームワークBANTについてより詳しく知りたい方は、次のリンクを参照ください。
▶▶参考リンク「BANT活用6つのコツ:最強営業ヒアリングフレームワーク

2.営業質問機会を5倍にする方法

顧客ヒアリングの基本は面談です。面談での営業質問成功率を上げる基本がBANTを使いこなすことでした。

ただし、特に新規商談ではなかなか一度の面談だけで顧客ヒアリングを完了するのは難易度が高いもの。かといって不完全な顧客ヒアリングでは、次のアポイントを取るのも難しいでしょう。

筆者は1000件の商談で試行錯誤を繰り返し、営業質問機会を大幅に増やす方法を確立しました。これにより筆者何度も1回の面談だけで受注獲得してきました。営業質問機会を5倍にする顧客ヒアリングのコツを解説します。

2-1.面談直後に営業質問機会を作る

テーブルを挟んで向かい合って話す時間だけが顧客ヒアリング時間だと思っていませんか。実は公式の面談時間が終わり席を立ってからエレベーターホールまで。このわずかな時間が営業質問のゴールデンタイムなのです。

公式の面談時間、打合せ時間は顧客担当者も商談モード、交渉モードです。一方、打合せが終わると顧客はわずかに緊張を解きます。企業を代表する交渉担当者の立場から一個人の立場に変化します。このお客様のわずかな心境変化、心のスキを突いて突っ込んだ営業質問をするのです。

例えば、「予算どりの状況」「競合企業の提案進捗」「自社提案に対する上司の評価」など。営業質問するのは面談中にははぐらかされたような重要ポイントです。世間話をしながら「そういえば」という感じで、突然ズバッと聞くのがコツです。会議室からエレベーターホールの2,3分は商談を決定づけるような重要情報を聞けるビックチャンスです。

面談直前はアイスブレイクで営業質問の土台を作る

正式な面談が始まる前。顧客の残りのメンバー待ちなどで数分開始が遅れることがあると思います。このとき筆者は、筆者の基本方針はアイスブレイクに徹することです。面談時の顧客ヒアリングでは、後半になるほど顧客との関係性ができ重要な情報を聞きやすくなります。後半で深い営業質問をするための土台を作るのが面談直前から導入部です。

なお、アイスブレイクは定番の天気の話など当たり障りのない話から入ることが多いでしょう。筆者の場合、世間話もしますが、できるだけ早めに顧客業務に近い話をしていきます。例えば、「最近お忙しいですか?」などと水を向け仕事の近況を聞いていきます。商談と世間話の中間。顧客業務の話をして共感することで、営業質問しやすい雰囲気を作ります。

2-2.商談後即日メールで営業質問機会を作る

面談が終わったらメールをします。御礼メールを送る方は多いでしょう。単に御礼にとどまらず、情報を引き出す機会を増やすメールヒアリングテクニックを紹介します。

メール内容は簡易的な議事録です。通常議事録は決定事項だけを書きます。しかし、商談初期は決定事項だけを書くと押しつけ気味になるので、お客様からこういう要件があった、といった議論のポイントを書くとよいでしょう。

議事録メールは即日送付

議事録メールは可能な限り早く送りましょう。目安は面談当日です。なぜ、面談当日に送るべきか。理由は次の4つです。

  • メールが早いだけで信頼感が上がる
  • すぐ送れば顧客も内容を覚えている
  • 自分も覚えているので正確な内容が書ける
  • 数日おいてメールすると催促されている印象を与える

面談直後にメールすると返信される確率があがります。可能なら打合せ後1,2時間以内に送ります。すると高確率で当日何らかの反応が得られます。
顧客は、面談直後は内容をよく覚えており、かつ話した内容について最も興味が高くなっているからです。

メール反応から情報を得る

面談ほどではありませんが、メール返信からも追加情報を得ることができます。

第1は顧客が返信したメールの内容です。しかし、文面そのもの以外からも有用な情報は得られます。

  • 返信が来ない:相手が忙しい。または商談の優先順位が低い
  • メール返信者が変わった:初回面談は上司主催で、その後部下である顧客担当者へ引き継ぐのが典型的パターン。普段は担当者と連絡しつつも、上司の意向を抑える
  • メールのCCに新しい人が加わった:CCに加わる人は大きく上司か一緒に検討する同僚の2種類です。わざわざCCに追加するくらいなので、今後の商談に何らかの影響を与える可能性が高い。要チェック

2-3.商談後に電話で営業質問機会を作る

対面、メール、電話は顧客と話をする3大ツールでしょう。

訪問せずに電話だけでヒアリングできると効率的です。しかし、電話だけで深い情報をヒアリングするのは難易度が高いでしょう。ここで、面談後の電話での営業ヒアリングテクニックを紹介します。

電話ヒアリング機会を仕込んでおく

面談後、その日中にメールすべきと書きました。ここから電話機会までを1セットで仕込んでおきます。次のような流れです。

  • 面談:最後にスケジュール感を聞いておく
  • 当日メール:簡易議事録(スケジュール記載あり)
  • 電話:メールの件で電話

私の場合は、最初の面談時にスケジュール感を聞いておきます。そのスケジュール感をメールに書き。メールの内容を元に電話をするのです。ここで、メールで今後のお客様の検討予定などを書いておくと、「あの件どうなりましたか?」と電話しやすい状況を作れます。

返報性の原理を仕込んでおく

私が営業ヒアリングテクニックとしてよく使うのが「返報性の原理」です。返報性の原理では、こちらが譲歩すると相手も譲歩しなければいけないという心理が働きます。

具体的には、まず面談の最後に直近のお客様の行動スケジュールを確認しておきます。なお、このとき顧客は曖昧な回答を好みますが、誰が何をいつまでにするか?の決定を促すのも営業の役割です。

面談で確認したスケジュールを直後のメールに記載します。例えば「●●様:上司に予算を確認(9/30目処)」などです。

以上の仕込みを元に顧客に電話します。私は商談スケジュールに余裕があるときは、あえて期限直前か期限を少し過ぎたくらいに電話します。

すると、面談しメールした事実を確認するだけですから、顧客側も素直に受け入れられます。そして、「すみません。遅れています」などとこちらが借りを作ったような心理状態を作れます。返報性の原理が働いている状態です。

この状態で、遅れている原因は何かを具体的にヒアリングします。すると「当初予定外の部長の横やりが入って」などと重要情報を聞けることもしばしばです。

2-5.商談前の電話で営業質問機会を作る

面談での営業ヒアリングは、その場のテクニックも必要ですが、最も重要なのは事前準備です。営業ヒアリングは仮説検証です。訪問前に商談仮説を立てヒアリングにより検証します。

通常初回訪問では相手の情報がゼロに近いことがほとんどでしょう。しかし、訪問前に仮説の精度を高めておけるかどうかが、営業ヒアリングに大きな差をもたらします。

アポイント調整電話で顧客ヒアリング

営業訪問前には、アポイント調整をすることが多いでしょう。私はそのときに単に日程調整だけでなく、案件概要、スケジュール感などを聞いておきます。ヒアリング難易度は高いですが、予算感もここで確認します。案件概要、スケジュール、予算感を確認した上で、ざっとニーズ仮説、ソリューション仮説の方向性を確認しておきます。そのうえで、必要な資料を事前に用意したり、「先日電話で伺ったことは、こういうことでよろしいですか?」と資料に落として、仮説検証ヒアリング精度を上げます。

面談前の事前営業ヒアリングで、初回仮説の精度が大幅に高まります。仮説精度が高まれば、その後の提案もすぐにできます。私は、このテクニックを磨くことで、商談期間、面談回数を同僚の半分くらいにしていました。

まとめ

営業ヒアリングテクニックを駆使すれば面談1回でも5回分の情報収集機会を得られます。

  1. 面談前の電話ヒアリング
  2. 面談中
  3. 面談直後の対面ヒアリング
  4. 面談後のメールヒアリング
  5. 面談後の電話ヒアリング

これらの営業ヒアリングテクニックの良いところは、慣れてしばえば、実行にさほど労力もかからず、かつ、かなり確実に使えることです。

本質的な営業力を上げることは時間がかかります。しかし、比較的簡単なヒアリングテクニックで商談情報が増えるなら是非使うべきです。

(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原一司)


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