営業ヒアリング

【営業ヒアリングのコツ】初回訪問チャンスを最大化する方法

「あなたは営業ヒアリングが得意ですか?」
「初回訪問チャンスを最大限に活かす方法を知っていますか?」

営業ヒアリング講師の海老原です。

営業ヒアリングはBtoBセールスの最重要活動です。しかし、新規商談ではなかなか一度の面談だけで営業ヒアリングを完了するのは難易度が高いもの。かといって不完全な営業ヒアリングでは、次のアポイントを取るのも難しいでしょう。

筆者は1000件の商談で試行錯誤を繰り返し、ヒアリング機会を大幅に増やす方法を確立しました。これにより何度も初回訪問だけで受注獲得してきました。初回訪問チャンスを最大化する営業ヒアリングのコツを解説します。

※ 過去の筆者作成記事を基に大幅に加筆修正

営業ヒアリングのコツ①:面談直後のチャンスを狙う

テーブルを挟んで向かい合って話す時間だけが営業ヒアリング時間だと思っていませんか。

実は公式の面談時間が終わり席を立ってからエレベーターホールまで。このわずかな時間が営業ヒアリングのゴールデンタイムなのです。

公式の面談時間、打合せ時間は顧客担当者も商談モード、交渉モードです。一方、打合せが終わると顧客はわずかに緊張を解きます。企業を代表する交渉担当者の立場から一個人の立場に変化します。このお客様のわずかな心境変化、心のスキを突いて突っ込んだ営業ヒアリングをします。

例えば、「予算どりの状況」「競合企業の提案進捗」「自社提案に対する上司の評価」など。営業ヒアリングするのは面談中にはぐらかされたような重要ポイントです。世間話をしながら「そういえば」という感じで、突然ズバッと聞くのがコツです。会議室からエレベーターホールの2,3分は商談を決定づけるような重要情報を聞けるビックチャンスです。

面談直前はアイスブレイクで営業ヒアリングの土台を作る

正式な面談が始まる前。顧客の残りのメンバー待ちなどで数分開始が遅れることがあると思います。このとき筆者は、筆者の基本方針はアイスブレイクに徹することです。面談時の営業ヒアリングでは、後半になるほど顧客との関係性ができ重要な情報を聞きやすくなります。後半で深い営業質問をするための土台を作るのが面談直前から導入部です。

なお、アイスブレイクは定番の天気の話など当たり障りのない話から入ることが多いでしょう。筆者の場合、世間話もしますが、できるだけ早めに顧客業務に近い話をしていきます。例えば、「最近お忙しいですか?」などと水を向け仕事の近況を聞いていきます。商談と世間話の中間。顧客業務の話をして共感することで、営業質問しやすい雰囲気を作ります。

営業ヒアリングのコツ②: 面談後に即日メールする

面談が終わったらメールをします。御礼メールを送る方は多いでしょう。単に御礼にとどまらず、情報を引き出す機会を増やすメールでの営業ヒアリングのコツを紹介します。

メール内容は簡易的な議事録です。通常議事録は決定事項だけを書きます。しかし、商談初期は決定事項だけを書くと押しつけ気味になるので、お客様からこういう要件があった、といった議論のポイントを書くとよいでしょう。

議事録メールは即日送付

議事録メールは可能な限り早く送りましょう。目安は面談当日です。なぜ、面談当日に送るべきか。理由は次の4つです。

  • メールが早いだけで信頼感が上がる
  • すぐ送れば顧客も内容を覚えている
  • 自分も覚えているので正確な内容が書ける
  • 数日おいてメールすると催促されている印象を与える

面談直後にメールすると返信される確率があがります。可能なら打合せ後1,2時間以内に送ります。すると高確率で当日何らかの反応が得られます。
顧客は、面談直後は内容をよく覚えており、かつ話した内容について最も興味が高くなっているからです。

メール反応から情報を得る

面談ほどではありませんが、メール返信からも追加情報を得ることができます。

第1は顧客が返信したメールの内容です。しかし、文面そのもの以外からも有用な情報は得られます。

  • 返信が来ない:相手が忙しい。または商談の優先順位が低い
  • メール返信者が変わった:初回面談は上司主催で、その後部下である顧客担当者へ引き継ぐのが典型的パターン。普段は担当者と連絡しつつも、上司の意向を抑える
  • メールのCCに新しい人が加わった:CCに加わる人は大きく上司か一緒に検討する同僚の2種類です。わざわざCCに追加するくらいなので、今後の商談に何らかの影響を与える可能性が高い。要チェック

営業ヒアリングのコツ③: 商談後の電話機会を活かす

対面、メール、電話は顧客と話をする3大ツールでしょう。

訪問せずに電話だけで営業ヒアリングできると効率的です。しかし、電話だけで深い情報をヒアリングするのは難易度が高いでしょう。ここで、面談後の電話での営業ヒアリングのコツを紹介します。

電話ヒアリング機会を仕込んでおく

面談後、その日中にメールすべきと書きました。ここから電話機会までを1セットで仕込んでおきます。次のような流れです。

  • 面談:最後にスケジュール感を聞いておく
  • 当日メール:簡易議事録(スケジュール記載あり)
  • 電話:メールの件で電話

私の場合は、最初の面談時にスケジュール感を聞いておきます。そのスケジュール感をメールに書き、メールの内容を元に電話をするのです。ここで、メールで今後のお客様の検討予定などを書いておくと、「あの件どうなりましたか?」と電話しやすい状況を作れます。

返報性の原理を仕込んでおく

私が営業ヒアリングのコツとしてよく使うのが「返報性の原理」です。返報性の原理では、こちらが譲歩すると相手も譲歩しなければいけないという心理が働きます。

具体的には、まず面談の最後に直近のお客様の行動スケジュールを確認しておきます。なお、このとき顧客は曖昧な回答を好みますが、誰が何をいつまでにするか?の決定を促すのも営業の役割です。

面談で確認したスケジュールを直後のメールに記載します。例えば「●●様:上司に予算を確認(9/30目処)」などです。

以上の仕込みを元に顧客に電話します。私は商談スケジュールに余裕があるときは、あえて期限直前か期限を少し過ぎたくらいに電話します。

すると、面談しメールした事実を確認するだけですから、顧客側も素直に受け入れられます。そして、「すみません。遅れています」などとこちらが借りを作ったような心理状態を作れます。返報性の原理が働いている状態です。

この状態で、遅れている原因は何かを具体的にヒアリングします。すると「当初予定外だった部長からの追加要望が入った」などと重要情報を聞けることもしばしばです。

営業ヒアリングのコツ④: 商談前の電話で情報を得る

面談での営業ヒアリングは、その場のテクニックも必要ですが、最も重要なのは事前準備です。営業ヒアリングは仮説検証です。訪問前に商談仮説を立てヒアリングにより検証します。

通常初回訪問では相手の情報がゼロに近いことがほとんどでしょう。しかし、訪問前に仮説の精度を高めておけるかどうかが、営業ヒアリングに大きな差をもたらします。

アポイント調整電話で営業ヒアリング

営業訪問前には、アポイント調整をすることが多いでしょう。私はそのときに単に日程調整だけでなく、案件概要、スケジュール感などを聞いておきます。ヒアリング難易度は高いですが、予算感もここで確認します。案件概要、スケジュール、予算感を確認した上で、ざっとニーズ仮説、ソリューション仮説の方向性を確認しておきます。そのうえで、必要な資料を事前に用意したり、「先日電話で伺ったことは、こういうことでよろしいですか?」と資料に落として、仮説検証ヒアリング精度を上げます。

面談前の事前営業ヒアリングで、初回仮説の精度が大幅に高まります。仮説精度が高まれば、その後の提案もすぐにできます。私は、このテクニックを磨くことで、商談期間、面談回数を同僚の半分くらいにしていました。

まとめ

営業ヒアリングのコツを駆使すれば初回訪問だけで5回の情報収集機会を作れます。

これらの営業ヒアリングのコツの良いところは、慣れてしばえば、実行にさほど労力もかからず、かつ、かなり確実に使えることです。

本質的な営業力を上げることは時間がかかります。しかし、簡単なヒアリングのコツを活用するだけで商談が有利になるなら是非活用すべきです。

(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原一司)


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