SWOT分析とは

SWOT分析とは|環境分析|マーケティング戦略

SWOT分析は競争優位獲得のための自社セオリーを評価するフレームワークです。

本記事では、競争戦略フレームワークとしてのSWOT分析について解説します。なお、内容は主としてJ・B・バーニー著「企業戦略論(上)基本編 -競争優位の構築と持続」を参考にしています。

SWOT分析とは

非常に成功した戦略セオリーは次の4つの条件を考慮したものであることが分かっています。

  • 企業の内部条件としての強み(strength)
  • 企業の内部条件としての弱み(weaknesses)
  • 企業の外部条件としての競争市場における機会(opportunities)
  • 企業の外部条件としての競争市場における脅威(threats)

企業がその強み(S)、弱み(W)、機会(O)、脅威(T)という視点に基づいて自社セオリーを評価するときその企業はSWOT分析を行っていることになります。

戦略セオリーとSWOT分析

強み(strengths)

SWOT分析フレームワークにおいて、企業の強み(strengths)とは、経済価値(または競争優位を)創出する経営資源とケイパビリティのことです。

たとえば、マイクロソフトはOS分野を活かしてアプリケーションソフトを制作する能力に強みを持ち、ディズニーは複数のエンタテインメント市場でキャラクターを生み出しそれを活用することに強みを持ちます。またウォルマート・ストアーズは競争の激しいディスカウント小売市場で効率の高い経営を行うことに強みを持ちます。

弱み(weaknesses)

SWOT分析フレームワークにおいて、 弱み(weaknesses) とは、その企業の強みがもたらす経済価値の実現を困難にするような経営資源やケイパビリティのことです。

たとえば、ウェスティングハウスの官僚的な組織や、機動性に欠けた企業文化は同社の経済価値を減少させた弱みです。ウェスティングハウスの官僚制度の弱みの悪影響は大きく、同社は事業部門のほとんどを売却。1997年にCBSコーポレーションと名を変え、1999年にバイアコムによる買収を経て消滅しました。

SWOT分析フレームワークにおいて、 機会(opportunities)とは、企業が競争上のポジションや経済的パフォーマンスを向上させるチャンスのことです。

機会(opportunities)

たとえば、フェデックスの創業者フレッド・スミスは、郵便物の宅配サービス市場を機会として利用しました。フェデックスはハブ・アンド・スポークシステムを使った翌日配達網の構築により機会を最大化、世界最大手の物流会社に成長しました。

脅威(threats)

SWOT分析フレームワークにおいて、 脅威(threats)とは、企業の外部にあり、その企業の経済的パフォーマンス低下させる個人、グループ、組織のことです。すべての企業は競争環境では脅威にさらされます。

まず企業が成功すればするほど、競合他社が成功の果実を奪い取ろうとし脅威にさらされます。また、欧州連合(EU)は2020年テック企業が欧州でビジネスを行うための厳格なルールを定めたEU競争法を発表しました。同法は巨額の罰金制裁や操業一時停止命令も可能で、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)をはじめとする大手テック企業にとっては大きな脅威です。

SWOT分析=戦略に対する問いに答えること

競争優位を生み出す戦略とはどのような性質を持っているのでしょうか。より具体的には、次のSWOTの問いに答えることです。

  • 企業にとって外部環境の脅威とは何で、その脅威はどうすれば無力化できるか (threats)
  • 企業にとって外部環境の機会とは何で、その機会とはどうすれば活用できるか(opportunities)
  • 企業の強みとは何であり、その強みはどうすれば活用できるか(strength)
  • 企業の弱みとは何であり、その弱みはどうすれば回避または克服できるか(weak)

マーケティング戦略策定とSWOT分析

SWOT分析は情報を整理・解釈するための枠組みです。

SWOT分析

SWOT分析で情報を整理する

では、SWOT分析で整理するための元情報はどこから持ってくるでしょうか。マーケティング戦略策定においては、PEST分析、3C分析の情報を使うのがわかりやすいやり方です。

SWOT分析とPEST、3C

図のようにPEST分析、3C分析で整理した情報をSWOTの枠組みを利用して整理します。なお、ここでPESTは必ず内部要因となることに注意しましょう。

SWOT分析で情報を解釈する

SWOTの枠組みで整理したPEST、3Cを元情報として解釈を引き出します。

SWOT分析で解釈

SWOT分析で解釈を引き出すコツは、強み・弱みと機会・脅威を掛け合わせて使うこと。これをクロスSWOTと言います。

SWOT分析活用のコツ

ここではSWOT分析活用の3つのコツを紹介します。

SWOT分析は単体では使わない

SWOT分析は情報の解釈に特化した枠組みです。解釈の元となる事実情報の把握には別のフレームワークが必要です。

フレームワークの用途フレームワーク
マーケティング情報収集PEST分析(マクロ環境)、3C分析(業界環境)
マーケティング情報の解釈SWOT分析

SWOT分析は網羅的な情報整理が苦手なフレームワークです。単体で使うと抜け漏れの多い情報を元にた恣意的な戦略解釈になりやすいので注意しましょう。

SWOT分析のゴールイメージを持つ

SWOT分析は何のためにおこなうのか。そのゴールイメージを持っておくことが重要です。

マーケティング戦略策定においては、基本方針(STP)につながる解釈を出すことです。またこの解釈は、機会の攻略か脅威への対抗のどちらかになるのが基本的考え方です。

短期/長期の視点を持つ

SWOT分析からは、1つだけでなく複数の戦略策定につながる解釈を導くことが可能です。このとき、短期視点と長期視点の2つの解釈を出すことが活用のコツです。例えば、「短期では競合の脅威への対抗手段で生き残りを図り、長期では伸びているセグメントを狙って市場機会を掴む」という要領です。

なお、短期とは通常1年程度、長期とは3~5年程度をイメージするとよいでしょう。また、長期視点では、PESTのトレンドに着目します。

(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原一司)


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Product
Price
Place
Promotion

(参考)企業研修プログラム

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