購買プロセス

購買プロセスとは:BtoBマーケティングの顧客分析

BtoBマーケティングのプロモーション戦略では、営業戦略に比重が置かれます。営業戦略立案に重要なのが、購買プロセス分析購買意思決定関与者(DMU)の分析です。

1.購買プロセスとは

BtoBマーケティングでは、態度変容モデルの代わりに購買プロセスを分析します。顧客企業の購買検討プロセスを理解し、各ステップに対応するコミュニケーション設計を行います。

BtoBマーケティングでもBtoCでも、購買までのプロセスをモデル化する、共通言語化することは同様です。
大きな違いは意思決定の仕方です。BtoCは個人的、BtoBでは組織的意思決定です。よって、BtoBの購買プロセスは、企業組織の意思決定、購買検討の流れを掴むことが重要です。

1-1.BtoB顧客の特徴:複雑な意思決定構造

BtoB顧客の特徴として購買意思決定構造の複雑性があります。

図は顧客のDMU(Decision Making Unit)の具体例です。企業顧客は多くの意思決定関与者の集合体(Unit)です。例えば、購買承認までは担当者が稟議をあげ、課長承認、部長承認というステップをたどります。また、案件次第で、関連する部署に意向の確認が必要な場合もあります。

BtoBの購買プロセスでは、様々な役割を持った意思決定関与者が関わります。購買プロセスの各段階で誰がどんな情報を元にどんな意思決定をするかを丁寧に掴むことがBtoBマーケティング、法人営業成功のポイントです。

意思決定関与者(DMU)例
意思決定関与者(DMU)例

※ ▶▶参考記事リンク:DMUとは:法人顧客の意思決定関与者を見える化する

2.購買プロセス把握のコツ

購買プロセス分析を行うには、顧客ヒアリングにより情報を引き出す必要があります。購買プロセスの情報を引き出す5つのコツをまとめました。

2-1.最終意思決定者を把握する

購買プロセスではじめに把握すべきは最終意思決定者は誰かです。最終意思決定者とは、通常購買稟議の最終承認者と考えて良いでしょう。購買プロセスの最重要キーマンです。

最終意思決定者の変化

購買プロセスの最終意思決定者は案件によって変化します。購買金額が大きくなるほど役職が上がるのが一般的です。購買金額ごとの決裁権限の例を示します。

最終意思決定者(最終承認者)決裁権限例
社長1億円以下
事業部長1000万円以下
部長100万円以下
課長10万円以下

最終意思決定者を把握するための営業トーク

具体的な最終意思決定者の把握には営業質問を重ねます。筆者が顧客ヒアリングするときの営業トーク例を示します。

【筆者】「商品選定が終わったら、次はAさんの部門から稟議をあげることになりますか?」
【顧客Aさん】「そうですね。私が稟議を作成することになると思います」
【筆者】「今回の金額感だと、部長承認でしょうか」
【顧客Aさん】「100万は超えそうなので、事業部長決裁ですね」
【筆者】「事業部長決裁ですね。Aさんの部門ですと、Bさんでしょうか」
【顧客Aさん】「いえ、Bは4月に異動しました。今はCですね」

3.購買プロセス分析を営業戦略に活かす

BtoBの購買プロセス分析の概念自体の理解はそれほど難しくはありません。しかし、実際に購買プロセスを分析するにはスキル/ノウハウが必要です。コンサルティングやマーケティング研修で、数十社の購買プロセスを実際に分析してきた筆者がノウハウを解説します。

3-1.購買プロセス分析のコツ①:オリジナルで作る

BtoBマーケティングの購買プロセスは、AIDMAのような汎用性の高いフレームワークはありません。自社が扱う商品、営業行動特性、顧客企業の業界、顧客キーマンの特性、などの違いで適切な購買プロセスは異なります。

例えば、先にあげた営業支援システムと製造部品の購買プロセスの2つを比較すると全く異なることがわかります。また、例えば同じ製造部品でも、汎用品と特殊な部品では購買プロセスが異なるはずです(汎用品では、購買部門主体で価格比較。一方、特殊部品ではより上流の商品設計から検討が行われる)。オリジナルで自社に最適な購買プロセスを設計できるかが、営業戦略のキモになります。

3-2.購買プロセス分析のコツ②:上流へ食い込む営業戦略

購買プロセス分析の後、各ステップに沿ったコミュニケーション設計を行います。BtoBマーケティングのコミュニケーション設計は営業戦略が重要です。

営業戦略立案のポイントの一つが購買プロセスの上流に食い込むこと。例えば、製造部品であれば、顧客接点を上流の商品企画から持てるか、下流工程の仕様決定後の相見積もりからしか持てないかで受注確度が大きく変わります。下流から入るほど薄利多売モデルになります。購買プロセスの上流から接点を持つためには、ソリューション営業、問題解決型営業が必要です。

4.BtoBの購買プロセス具体例

BtoCマーケティングでは、AIDMAをはじめとする汎用的な購買意思決定の型が存在します。一方、BtoBマーケティングでは取り扱い商品、顧客特性などによって意思決定方法が大きく異なります。

BtoBの購買プロセスは、顧客や自社の営業状況に合わせて個別に作成する必要があります。

作成の参考に次に購買プロセス分析の具体例をいくつか示します。

4-1.購買プロセス分析例①:営業支援システム導入

購買プロセスとして、「営業支援システム導入」の例を示します。典型的には情報システム部門が主管し、営業支援システムを販売しているベンダーに提案依頼を行います。

購買プロセス購買プロセスごとの行動
情報収集、課題調査社内で解決したい課題は? 解決にはどんなものがある?(例:営業支援システムで営業活動効率化)
案件定義課題と解決策の方向性を定義する
候補業者選定詳細検討するベンダーを3社程度選ぶ
(商品より先に会社を選ぶことも多い)
提案評価提案内容を比較表などを元に検討
社内稟議リターン>投資額になること。なぜこの提案を選んだか、を承認してもらう

4-2.購買プロセス分析例②:メーカーの製造部品購入

購買プロセスとして、「製造部品」の例を示します。
例では、顧客企業はメーカー。自社はメーカーが設計、製造する商品の部品を販売します。

購買プロセス購買プロセスごとの行動
商品企画誰に、どんなものをどういう計画で売るか
商品全体設計商品企画コンセプトを満たす機能、コスト要件検討
コンポーネント設計全体設計踏まえ各コンポーネント、モジュールを設計
おそらくこの時点で部品調査必要性の濃淡ができる
部品調査提案内容を比較表などを元に検討
比較他の部品と比較検討
おそらく類似競合部品比較の前に既存部品との比較
購買稟議購買稟議をあげる。稟議の前に仕様決定

(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原一司)


(参考)「超実践型 営業力強化研修」関連記事まとめ

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