価格戦略

価格戦略|マーケティング用語集

マーケティング講師の海老原です。

価格戦略とは、マーケティングミックス4Pのひとつ「Price」のことです。「顧客が購入する製品の対価として支払う金額」を決めることが価格戦略の基本です。

1.新規参入時の2つの価格戦略

新規参入における価格付けは、大きく二つの方針があります。スキミングプライシングとペネトレーションプライシングです。

1-1.スキミングプライシング

スキミングプライス(skimming price)とは、製品の市場投入時・導入期に高価格を設定し、高収益力を確保するための価格設定のことです。

スキミングプライスを取る価格戦略を、「スキミングプライシング」といいます。

英語でスキミング(skimming)とは、「上澄みをすくい取ること」です。 つまり対象市場の上澄みである富裕層などの「高くても買ってくれる顧客」を狙った価格戦略です。 スキミングプライシングを行うことにより、商品の導入期から高収益力を確保し、投資の早期回収を図ることができます。

スキミングプライシング事例:iPhone

スキミングプライシングを適用している事例がApple社のiPhoneです。iPhoneの価格はスマートフォンの中でも最上位に位置づけられます。高い価格付けを可能とするのがアップルブランドにコミットする根強いAppleファンの存在です。また、AppStoreやiTunesなどのエコシステムを作り上げることで、スマートフォンを買い換えるときも引き続きiPhoneを選んでもらうという良いサイクルを作っています。

iPhoneの価格が下がるのは新機種発売後の旧機種だけです。ここで、「旧機種は新機種よりは低いものの他社より高い価格を維持していること」「旧機種は投資回収が終わった安い生産設備で製造できること」の2点からAppleは旧機種の販売でも非常に高い利益率を確保しています。

1-2.ペネトレーションプライシング

ペネトレーションプライス(penetration price)とは、導入期から一気に市場への早期普及を図り、成長カーブに乗せることを目的とする価格設定のことです。

ペネトレーションプライス(penetration price)を取る価格戦略を、「ペネトレーションプライシング」といいます。英語でペネトレーションとは、「浸透すること」です。導入期から一気に市場への早期普及(浸透)を図り、成長カーブに乗せることを目的とする価格設定のことです。

ペネトレーションプライシングでは相対的に安い価格設定を行います。時には短期的な収支が赤字でもシェア拡大を狙います。ペネトレーションプライシングを成立させる理論的背景は規模の経済です。高い市場シェアを確保することで相対的に低コストで製品提供できることが前提となります。

2.価格決定のロジック

4PのPriceは価格戦略です。価格戦略を考えるのに最も重要な価格ロジックについて説明します。

価格上限は、顧客が得る価値

価格算出ロジックについて、自社目線と顧客目線を比較したのが次の図です。

価格は何で決まるか

典型的な自社目線での価格算出ロジックはかかったコストに利益を乗せます。一方、顧客目線で考えるとコストがいくらかは判断基準になりません。支払い意思額(WTP:willingness-to-pay)は、顧客が得る価値によって決まります。
顧客が得る価値が自社の提供価格の上限です。

BtoBマーケティングでは顧客価値を定量化

価格決定において顧客が得る価値が重要であるのは、BtoCでもBtoBマーケティングでも同じです。BtoBマーケティングで、特に意識すべきは顧客価値の定量化です。

BtoCではブランド力など数値化価格決定要因の比重が大きくなります。一方、企業の意思決定は個人に比べより合理的です。企業の意思決定では、定量化し経済合理的に意思決定しようとする圧力が働きます。
BtoBマーケティングでは、購買意思決定により顧客がいくら得するかを定量的に示す必要があります。

3.マーケティング戦略実行フレームワーク

戦略の基本3要素のうち「行動計画」にあたるのが、マーケティングミックスです。マーケティングミックスではSTPで定めた基本方針をより具体的な実行計画に落とし込みます。

マーケティング・ミックス(4P)

4P:行動計画整理のマーケティング戦略フレームワーク

4Pとは、Product、Price、Place、Promotionの頭文字をとったものです。製品、価格、流通、プロモーションの4Pは、行動計画・実現手段を整理するのに最適なマーケティングフレームワークです。

STPと4P

ターゲットとポジショニングは、マーケティング戦略の「誰に(Who、To Whom)、何を(What)」提供するかを規定します。STPの具体的な実現手段(How)を規定するのが4Pです。

(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原一司)


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