3C分析

3Cフレームワーク活用術|マーケティング情報収集7つのコツ

マーケティング講師の海老原です。

3C分析は最も有名なマーケティングフレームワークです。

シンプルで奥深い3C分析。このフレームワークを最大限に活かすために必要なのが、マーケティング情報を集める力です。

筆者は長年BtoBマーケティング現場で、自らファクト情報を集め戦略の立案に3C分析フレームワークを活用してきました。本稿では、「3Cフレームワーク活用術|マーケティング情報収集7つのコツ」としてノウハウをまとめます。

※ 過去の筆者作成記事(フレームワーク3C分析のコツ-マーケティング情報収集9つの方法)を基に大幅に加筆修正

3C分析とは

3C分析とは、市場、競合、自社の視点で業界を網羅的に把握するフレームワークです。3Cは、Customer、Company、Competitorの頭文字を取ったものです。

3C分析はマーケティング環境分析のフレームワークです。

3C分析とは

3C分析項目 ①市場環境・顧客

市場環境、顧客環境にて把握すべき項目を示します。

  • 市場規模、市場成長率
  • 顧客ニーズ
  • 顧客の消費行動、購買行動

3C分析項目 ②競合環境

競合環境で把握すべき項目を示します。

  • 競合企業の市場シェア
  • 急成長しているなど特に注意すべき競合はどこか
  • (狭義)自社と直接競合になりやすい企業はどこか
  • (広義)代替品は何か、代替品は強いか

3C分析項目 ③自社環境

自社分析で把握すべき項目を示します。

  • 事業状況、製品状況
  • ヒトのリソース(人数、営業の質/特性、技術者の質/特性、など)

3Cフレームワーク活用術1】顧客情報は自らヒアリングせよ

3C分析フレームワーク活用で筆者がBtoBマーケティングや新規事業開発実務で重視していたことがあります。顧客ヒアリングの場に同席し自ら情報を集めることです。

顧客ヒアリング

対象の商品・サービスについて最も深く理解し、当事者意識があるのは主担当者です。間接的に得た情報も役には立ちます。しかし、同じ顧客ヒアリングでも直接と間接では得られる情報密度、精度が大きく異なります。

3C分析の顧客情報は自らヒアリングすべきです。しかし、自ら顧客ヒアリングを行うにはスキル、ノウハウが必要です。3C分析フレームワーク実務での顧客ヒアリングのポイントを3つにまとめました。

①あらゆる顧客ヒアリング機会を逃さない

一つ目は、あらゆる顧客ヒアリング機会を逃さないこと。基本的に顧客担当営業者はわざわざヒアリング機会を作ることを嫌がります。日頃から営業担当者との関係を作り、少しでもチャンスがあればずうずうしいくらいに顧客ヒアリング同行することが必要です。

②顧客ヒアリングスキルを磨く

二つ目は、顧客ヒアリングスキルを磨くこと。顧客ヒアリング機会があったとしても、BtoBマーケティング担当者、新規事業担当者は、初対面の顧客から1時間以内に必要な情報を引き出す必要があります。これには相当な実地訓練が必要です。顧客ヒアリングスキルの磨き方については、次の記事を参考にしてください。

なお、自分自身が顧客ヒアリングスキルを磨くことは情報を得る以外のメリットもあります。大きいのは間接情報の判断精度が上がること。営業担当者の顧客ヒアリング結果な量では間接情報の方が多くなります。しかし、間接情報は玉石混交です。雑多な中から情報の質をより分け意味のある示唆を得るには、自らが顧客ヒアリングスキルをマスターしていること、対象顧客を自分でヒアリングした経験が役立ちます。

③顧客導入事例作成機会を利用する

三つ目は、顧客導入事例作成機会を利用すること。BtoBマーケティングにおいて、最も強力なセールスツールの一つが導入事例です。筆者は導入事例作成の取材を重要な顧客ヒアリング機会として利用していました。

顧客導入事例取材ではお客様の心構えができているので通常のヒアリングに比べ突っ込んだ話ができます。また「既存顧客の導入事例」ですので、「いつ何がどんな目的で導入されたのか?」などを取材前に社内データや営業担当者へのヒアリングを通じて整理し、万全の準備で臨むことができます。

一般的に取材をライターに任せます。顧客ヒアリングの観点からはライターに任せきりにしてはいけません。事前の打合せで顧客ヒアリング内容を設計すること、取材当日は同席してライターの質問を補足することがおすすめです。

3Cフレームワーク活用術2】営業担当者から顧客情報を集める

3C分析の顧客情報は、特にBtoBマーケティングでは自ら集めるのが基本です。ただし、担当者一人だけでの情報収集には限界があります。お客様と直接会話している営業担当者から3C分析の顧客情報を集める技が必要です。

営業部門とマーケティング部門は売上をげるという上位目的は同じにもかかわらず、実務上は対立関係が起きやすいのが実情です。現場を分かってないマーケティング施策ばかり下りてくると不満を持つ営業担当者も少なくありません。社内対立が起きがちな営業とマーケティング。そんな中、3C分析フレームワーク実務で営業担当者から顧客情報を集めるポイントを3つにまとめました。

①営業から顧客情報が集まりやすい状態を作る

一つ目は、営業から顧客情報が集まりやすい状態を作ること。特にBtoBマーケティングでは、商品・サービスの深い知見が必要だったり、顧客がカスタマイズを求めてきたりと営業提案が複雑になりがちです。筆者の場合、商品・サービス内容はもちろん、顧客事例や技術的な部分まで含め理解し自分のマーケティング対象に限れば社内で最も詳しい人材になるようにしてきました。つまり、営業担当者から頼られる存在を目指します。

営業担当者から相談があれば本来自分の対応範囲外の質問でも、正面から受け止めて対応。その後フォローまで行います。商談レベルで頼られる存在になれば、顧客情報は勝手に集まるようになります。

②営業担当者に、こちらから積極的に近づく

二つ目は営業担当者に、こちらから積極的に近づくこと。マーケティングや企画部門と営業部門は本来目指すことは同じはずなのに対立関係になりがちです。マーケティング部門はせっかく施策を作っても営業が動いてくれないと思う。営業部部門は本部の人間は現場がわかっていないと思う。

対立しがち構造で3C分析の顧客情報を集めるには一人一人と個人的なつながりを持つことが重要です。部門対部門ではなく、1対1で関係を作っていきます。できれば担当者はもちろん営業マネジャーレベルとも関係を作れると入手できる情報の幅が大きく広がります。

③事実と解釈を分ける

三つ目は、事実と解釈を分けること。営業担当者から顧客情報を集めることは重要ですが、あくまで2次情報であることに注意しましょう。営業担当者から仕入れた3C分析情報の「どこまでが事実で、どこまでが解釈が入っているか」を慎重に切り分ける必要が有ります。

筆者が経験した例をあげましょう。「お客様は、みんなこの機能が必要だといっています。なので、仕様を変えて欲しい」はよくある要望です。このとき「みんな」とはどこか具体的にあげてもらうと、要望は2社だけだったりします。さらに、営業ヒアリング時に「この機能は必要でしょうか?」と誘導尋問のような質問がされていることもしばしばです。後日筆者が顧客同行して深くヒアリングすると「この機能はあった方がよいが必須ではない。価格が上がるなら不要」という回答をもらいます。

3C分析では、営業担当者の解釈を切り分け、「顧客の実際の発言は何か?どの文脈で言ったか?真意は何か?」という事実に迫ることが重要です。なお、事実と解釈を分けた判断ができる知見をためる意味でも、まずは自分自身で顧客ヒアリングすることが重要になります。

3Cフレームワーク活用術3】自社顧客から競合情報を集める

3C分析フレームワーク活用で競合情報の有力入手先の一つが自社顧客です。

競合情報

ここでのポイントは、自社顧客は競合にとっても顧客であること。特にBtoBの購買では複数企業から提案を受け比較検討がおこなわれます。よって、顧客企業は、同じ商品カテゴリ、同じ課題に対して自社以外の競合企業の詳細な提案情報を持っています。顧客は自社より多くの競合情報を持っているのです。

では、顧客が持っている競合情報はどのように引き出せばよいのでしょうか。大きく2つの方法があります。

①質問で競合情報を引き出す

顧客が持っている競合情報入手には、こちらから仕掛ける。つまり顧客との面談で競合に関する質問を直接ぶつけることが必要です。例えば、「検討中または検討済みの商品は、どの競合と比較したのか?」「競合提案はどのような仕様と価格か?」「顧客は何を基準に商品を選定したか?」「顧客の自社への評価と競合他社の評価は?」と具体的に質問していきます。

なお、やるべきことはわかるが実際競合情報を引き出すのは難しい。顧客ヒアリングしても教えてくれない。と考える方も多いでしょう。これは、顧客ヒアリングスキルをあげるよりありません。次に挙げるヒアリングのコツをまとめた記事を参考にしてください。潜在ニーズヒアリングを対象に解説していますが、ほとんどのコツは競合情報でも使えるはずです。

②顧客から競合情報資料を入手する

顧客からの競合情報入手方法で最もよいのは、競合企業の資料をそのままもらうことです。「言うは易く行うは難し」ですが、要は競合他社資料をもらえるくらい顧客と深い関係性を築くこと。デキる営業担当者は、顧客からこっそり資料をもらったり、みせてもらえる信頼関係を構築しています。

筆者も仲良くなった顧客からはほぼ必ず競合資料を見せてもらっていました。近年セキュリティ意識の高まりからファイルをそのまま転送してもらえることは減りましたが、パソコンで開いた資料を見せてもらうことは十分可能です。

ここで一つのポイントは顧客自らこちらに資料を見せた方がよいと思ってもらうこと。顧客担当者の立場に立てば、稟議書を通すため購買先候補を比較した社内資料が必要です。社内稟議を通すためのパートナーの視点で話を進めていくと自然の競合資料もみせてもらえます。そして競合資料が見せてもらえれば受注確度も自然に高まっています。

3Cフレームワーク活用術4】直接他社から競合情報を集める

3C分析競合情報入手先の二つ目は競合他社そのものです。

競合他社から直接情報を集めることは不可能と決めつけて最初から諦めてしまっている方が多いようです。工夫と努力次第で質の高い競合情報を入手できます。筆者は事業企画担当として実際に多くの競合情報を直接他社から得て3C分析に活かしてきました。直接他社から競合情報を集めるコツを説明します。

①セミナー、展示会に参加しまくる

競合情報を得る有力な機会がセミナーや展示会です。筆者は主要な競合他社がスピーカーとなるセミナーには必ず参加していました。ヒマなときに情報収集するのではなく、業界のセミナーが集約されたサイトを定期的にチェック。忙しくても時間をブロックして最優先で機会を作ります。

不特定多数の参加者がいるセミナーでは重要な情報は話さないのでは、と思うかも知れません。しかし、セミナー主催者の立場で考えれば、集客できる面白いコンテンツが必要です。必然的に、一般的な公式WEBサイトなどに載っている情報より一歩踏み込んだ内容がプレゼンテーションに盛り込まれます。

②セミナーでは必ず質問する

3C分析競合情報を引き出すため最大限活用すべきなのが、セミナー後のQ&Aセッションです。一歩踏み込んだプレゼンテーションが行われるとは言え、自社に不利な情報はぼやかして説明されます。このぼやかされた重要ポイントを質問により掘り下げます。セミナーのスピーカーは聴衆の質問に誠実に答え、ためになる情報を提供する責務があります。よって、多くの場合きわどい情報は慎重に避けつつも突っ込んだ回答を返してくれます。

このとき極力具体的な質問をするのが競合情報を引き出すコツです。例えば、次のような質問です。

「先ほど、このような課題に御社のソリューションが有効との話がありました。しかし、私の理解では似た課題でもこの状況のときは解決が難しいのではないかと思います。個人的見解でもかまいませんので教えてください」

3Cフレームワーク活用術5】パートナーから競合情報を集める

3C分析競合情報入手先の3つ目はパートナー企業です。自社の仕入れ先と言い換えても良いでしょう。

ほとんどの業界で自社の仕入れ先と競合の仕入れ先企業はある程度重なります。パートナーは自社と競合度が高い企業とも取引関係にあります。取引成立までいかずとも少なくとも複数の競合企業に営業をかけています。

よって、パートナーは3Cの競合分析をおこなうための最適な情報源の一つです。ここで、ポイントはパートナー企業にとって自社が顧客であること。パートナー企業は、こちらの質問を無下に断ることはできません。世の中に知られいないきわどい情報まで教えてもらうことも可能です。

筆者はパートナーの営業担当者と仲良くなることで、定常的に競合情報を掴める状態を作っていました。

3Cフレームワーク活用術6】社内人脈で自社情報を集める

質の高い3C自社情報を集めるポイントは社内人脈の活用です。

自社情報

社内には整理されていない多量の雑多な情報があります。いくらシステムが整備されていても多くの情報やノウハウは人に依存しています。むしろ社内の誰でも知っている情報ではなく、知る人ぞ知る情報やノウハウにこそ勝てるマーケティング戦略立案のヒントがあります。

弱い紐帯の強み

社会学者のマーク・グラノヴェッターは1973年に「弱い紐帯の強み(The strength of weak ties)」という説を提唱しました。グラノヴェッターがホワイトカラーの転職について調査をおこなったところ、家族・友人のような「強いつながり」を持った人より、知人のような「弱いつながり」から得た情報で情報を得ていました。

つまり情報探索においてはよく知っている人より、あまりよく知らない人とのつながりが重要ということです。例えば、例えば同じ部門の人、一緒に仕事をしている人が持っている情報の多くは自分自身の情報と重なっています。一方、他部署の人、普段一緒に仕事をしないような人は、自分が持っていない貴重な情報を持っている可能性が高くなります。

具体的には、営業、技術、企画など業務内容、知見が異なるいくつかの部門でキーマンとなる人と「弱いつながり」をつくります。人数は多いほどよいですが、重要なのは人数より多様な部門に情報源を持つこと。この情報ならあの部門のあの人に聞けば良いという人を10名以上思い浮かべられるようにしておきましょう。

3Cフレームワーク活用術7】社外人脈で自社情報を集める

3C自社情報は社外人脈から集めることも可能です。筆者は、仕入れ先パートナー企業の営業担当者から自社情報を仕入れるようにしていました。社内で新しい活動、大きな動きが始まるとき、担当者は問い合わせや見積依頼として、社外パートナーにコンタクトを取ります。

社外パートナーとはこちらが顧客の立場でも通り一辺倒ではなく、お互いに有用な情報交換できる関係を築きましょう。できる営業マンは顧客社内の細かい動きまで把握しています。社内人脈だけでは得られない自社の動向を入手できることも多いのです。

(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原一司)


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クープマンの目標値

PEST
3C
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マーケティング・ミックス(4P)

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Product
Price
Place
Promotion

デジタルトランフォーメーション


(参考)企業研修プログラム

マーケティング研修プログラム

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ニーズヒアリング研修

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