製品戦略(プロダクト戦略)

製品戦略(プロダクト戦略)とは|4P分析|マーケティング戦略

マーケティング講師の海老原です。

製品戦略(プロダクト戦略)とは、マーケティング戦略において顧客にどの様な製品やサービスを提供するのかを考えることです。

まず、製品の価値構造と製品コンセプトを明らかにします。そして、それを支える技術や生産、製造、パッケージ、サポートサービス、を組み合わせ「顧客に提供する製品」を設計します。

※ 過去の筆者作成記事を基に大幅に加筆修正

1.製品とは

製品(Product)とは、欲求やニーズを満たす目的で市場に提供され、消費されるすべてのものを指します。製品は狭義では見えるモノですが、広義では、知的生産物、サービス、イベント、人材、アイデア、またはそれらの組み合わせを含みます。

また、サービスとは、販売のために提供される活動、ベネフィット、満足からなる製品で本質的に見えないものです。たとえば、銀行、ホテル、弁護士などのサービスがあります。

2.製品の分類

製品やサービスは、それを利用する消費者のタイプによって、消費財と生産財の2つに大きく分類されます。

消費財

消費財とは、最終消費者が自らの消費のために購買する製品です。

消費財は、消費者の購買習慣に基づいてさらに、最寄品、買回品、専門品、非探索品の4つに分類されます。

最寄品(もよりひん)

最寄品とは、通常消費者が頻繁に最寄りの場所で購入し、類似品との比較や購買に対して最小の労力しか使わない製品やサービスです。たとえば、シャンプー、ティッシュペーパー、ファーストフードなどが含まれます。

最寄品は通常低価格です。マーケターは顧客が必要な場合にする買い求めることができるよう多くの場所に配置します。如何に消費者との接点を増やすか、買いたいときにすぐ帰る状態を作るかが一つのポイントです。

買回品(かいまわりひん)

買回品とは、顧客が自身への適合性、品質、価格、スタイルなどの基準で慎重に比較する製品やサービスです。たとえば、服、家電、家具、ホテル(サービス)などが含まれます。

買回品は、購買頻度は低く、消費者は買回品の購買時には、情報収集や比較に多くの時間と労力を費やします。マーケターは、最寄品に比べより絞られた店舗で製品を販売します。その代わり顧客が比較検討しやすいようセースルパーソンが丁寧に対応します。たとえば、家電量販店の店員は製品分野ごとの豊富な専門知識を持っています。

専門品

専門品とは、固有の特性またはブランドアイデンティティーを持ち、購入のために努力を惜しまない特定の購買グループが存在する製品やサービスです。たとえば、特定のブランドの自動車(ポルシェ、フェラーリ)、プラダ、グッチなどの高級ブランド品、などが含まれます。

専門品の購買者は比較購買をしません。購買者は希望の製品を扱う店舗にいくことに時間を労力を使います。

非探索品

非探索品とは、普通なら購入しようと思わない製品やサービスです。たとえば、生命保険、墓石などが含まれます。

非探索品では元々買うつもりがない消費者を購入希望する状態にまで持って行く必要があります。そのため広告や人的販売などの積極的なプロモーション活動が必要です。

生産財

生産材とは、さらに加工したり、ある業務を行ったりするために使用する目的で購買する製品やサービスです。消費財と生産財は、製品がどのような目的で購買されたかで区別します。

芝刈り機の購入目的による分類

趣味の園芸用に購入(個人利用)消費財
造園の仕事をするために購入(仕事用)生産財

3.製品コンセプト

製品戦略を検討するための枠組みに製品コンセプトがあります。

製品コンセプトの3要素

製品コンセプトは3つの要素で構成されます。

  • 対象(ターゲット像):誰が使うのか?
  • 利用シーン:いつどこで何に使われるのか?
  • 顧客ベネフィット:製品が提供する価値は何か?

製品コンセプト事例:ウィダーインゼリー(ゼリー飲料)

ウィダーインゼリーの製品コンセプトをまとめます。

3要素ウィダーインゼリーの製品コンセプト
対象:誰が使うか?・朝食を採る時間がない。作る手間を省きたい独身男性ビジネスマン
利用シーン:いつどこで何に使われるか?・朝食、間食
・移動しながら食べる。仕事中に食べる(ながら食べ)
顧客ベネフィット:製品の提供価値は?・短時間で食事ができる(「10秒チャージ」)
・身体に良い栄養素をバランス良く採れる(菓子パンなどとの差)

製品コンセプト事例:ジョージア(缶コーヒー)

缶コーヒージョージアの製品コンセプトをまとめます。

3要素ジョージアの製品コンセプト
対象:誰が使うか?・若手~中年男性ビジネスマン。特にデスクワーカー
利用シーン:いつどこで何に使われるか?・仕事の合間の小休憩
・仕事中にデスクで
顧客ベネフィット:製品の提供価値は?・ほっと一息つく

4.プロダクト3層モデル

製品戦略の具体的実現方法を検討するフレームワークに、「プロダクト3層モデル」があります。プロダクト3層モデルは、製品価値構造を3層に分け製品戦略を整理するマーケティングフレームワークです。

「プロダクト3層モデル」では、製品特性を「中核」「実態」「付随機能」の3層に分け、それぞれの層で製品特性の要素を考えます。

プロダクト3層モデル

製品の中核(コア)

プロダクト3層モデル第1層は製品の価値の本質、コンセプトです。顧客が求める製品の中核的なベネフィット、価値、サービスなどです。

製品の実体

プロダクト3層モデルの第2層は、製品の実体、製品の特性を構成する価値です。具体的には、実際に顧客が入手する製品を特徴づけている要素。「機能」「品質」「スタイル」「ブランド」「パッケージ」などです。

製品の付随機能

プロダクト3層モデルの第3層は、間接的に顧客にとっての製品の価値を高める要素です。製品やサービスに付随する、配達、設置、保障、アフターサービスなどが含まれます。

プロダクト3層モデル事例:スマートフォン

プロダクト3層モデル事例としてスマートフォンの例を示します。

スマートフォンの中核

スマートフォンの中核は、電話機能、メール機能、インターネット接続機能などです。手軽なコミュニケーション手段、情報収集手段を提供していることが本質的価値でしょう。

スマートフォンの実体

スマートフォンの実体は、デザイン、バッテリーの持ち(充電後利用時間の長さ)、通信速度、カメラ性能などです。スマートフォンは多くの機能から構成されており、それらの一つ一つが実体です。また、製品の実体には「iPhone」のようなブランドも含まれます。

スマートフォンの付随機能

スマートフォンの付随機能は、故障時の交換サービス、サポートサービスなどです。AppleはAppleStoreで専門スタッフの高度なサポートを受けられる「ジーニアスバー」を開設しています。ジーニアスバーは本来は製品の付随機能です。しかし洗練されたサービス提供によりブランド価値を高める役目も持っています。

5.FABE分析

BtoBマーケティングで製品戦略を考えるのに有効なフレームワーク「FABE分析」を紹介します。

FABEは、Feature(特徴)、Advantage(優位性)、Benefit(顧客メリット)、Evidence(証拠)の頭文字をとったもの。製品戦略で商品の伝え方をまとめるのに適したフレームワークです。

FABE分析

商品パンフレット作成時など、FABE分析でメッセージを整理します。

なお、製品コンセプトとFABE分析のフレームワークの使い分けが迷いやすいところです。製品コンセプトは商品企画するときのフレームワーク。対してFABE分析は企画した商品を伝えるフレームワークとして、使い分けます。

Feature(概要)の書き方

Featureは提案書の概要です。書くときは次のポイントに注意します。

  • 商品概要を1,2行で端的に表現 すること
  • 商品説明にしないこと。問題解決の概要

Advantage(優位性)の書き方

Advantageは商品の優位性です。書くときは次のポイントに注意します。

  • 競合他社との比較。自社旧製品との比較ではない
  • 他社情報がなければ、調べる/推測する

Benefit(顧客メリット)の書き方

Benefitは商品の顧客メリットです。書くときは次のポイントに注意します。

  • 顧客の経済合理的価値。Advantageと混同しやすいので注意
  • 誰にとってのメリットか?視点を意識

Evidence(証拠)

Evidenceは商品の証拠です。書くときは次のポイントに注意します。

  • 定量化は因数分解の上、推測し、検証し、合意する
  • 実績はよいEvidence

要はFABE分析とは

覚えやすいように短くまとめると、要はFABEとは「まとめ」「他社比較」「顧客メリット」「その根拠」の4つ。FABE分析は、本格的に製品コンセプトをざっくり考えるのに適したフレームワークです。

FABE分析具体例:「ユニクロヒートテックシャツ」

FABE分析の具体例を示します。具体例を見ることでFABE分析の完成イメージを掴みます。

「ユニクロヒートテックシャツ」のFABE分析具体例です。

FABE>FABE分析の内容
Feature・東レとの共同開発した繊維を使った薄いのにとても暖かいシャツです
Advantage・普通のシャツを3枚重ね着したくらいの暖かさがあります
Benefit・ヒートテックシャツとコートを着ただけで外に出れます
Evidence・表面積の大きな繊維を使用。汗がすぐ乾き体温低下を抑えます
・保温性はもちろん特殊な綿で素材そのものが発熱します

※ 参考記事リンク 『FABE分析とは:提案、商品設計フレームワーク

6.ホールプロダクト

ホールプロダクトとは、「セオドア・レビット」が提唱した、購入者の期待している機能により近づけるよう自社製品の補助製品や補完サービスを段階的に揃えるモデルです。

特に、ITを中心としたハイテク製品のマーケティングで重要となる考え方です。

ホールプロダクトは4つのプロセスで説明されます。すなわち「コアプロダクト」「期待プロダクト」「拡張プロダクト」「理想プロダクト」です。

ホールプロダクトモデル

コアプロダクト

コアプロダクトとは、企業が提供する商品・サービスそのもののことです。

期待プロダクト

期待プロダクトとは、顧客が製品購入時に「こうあるはず」と期待している機能・製品です。顧客を「最低限満足」させるため必要な製品やサービスです。

拡張プロダクト

補完商品・サービスを豊富に用意し、機能を拡張することを拡張プロダクトといいます。顧客がその製品を購入した目的を最大限満たすための製品・サービスです。

例えば、「Windowsパソコン」で考えると、「Microsoft Office」などのアプリケーションソフトウェア」「外付けハードディスクなどの拡張ハードウェア」などが当たるでしょう。

理想プロダクト

顧客の理想を完全に実現した段階のプロダクトを「理想プロダクト」といいます。もちろん、「完璧な製品」などなかなか出来ませんが、理想プロダクト目指して製品改善を重ねていきます。

7.マーケティング・ミックス(4P)

良い戦略は「診断」「基本方針」「行動計画」の3要素を備えています。「行動計画」にあたるのが、マーケティング・ミックス(4P)です。

4Pとは、Product、Price、Place、Promotionの頭文字をとったものです。製品、価格、流通、プロモーションの4Pは、行動計画・実現手段を整理するのに最適なマーケティングフレームワークです。

STPと4P

STPと4P

マーケティング戦略の基本方針(STP:Segmentation、Targeting、Positioning)を具体的な実行計画に落とし込むためのフレームワークが4Pです。

ターゲットとポジショニングは、マーケティング戦略の「誰に(Who、To Whom)、何を(What)」提供するかを規定します。STPの具体的な実現手段(How)を規定するのが4Pです。

(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原一司)


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