「BtoBマーケティングとはなんでしょうか?」「BtoCマーケティングと何が異なるのでしょうか?」
事業会社4社、コンサルティングでBtoBマーケティング歴20年以上の海老原が解説します。
※ 過去の筆者作成記事を基に大幅に加筆修正
BtoBマーケティングとは
BtoBとは、Business to Businessの略。BtoBマーケティングとは、法人顧客を対象としたマーケティングです。
広くいえばどちらも「マーケティング」ですが、消費財向けの「BtoCマーケティング」と区別したいとき「BtoBマーケティング」と呼ばれます。また、BtoBマーケティングは、「生産財マーケティング」「ビジネスマーケティング」と呼ばれる場合もあります。
BtoBもBtoCも同じ?
消費者も生産財もマーケティング戦略立案の流れは同じです。すなわち次のようになります。
環境分析→STP(Segmentation,Targeting,Positioning)→施策
分析のマーケティングフレームワークも共通のものが使えます。
- PEST分析
- 3C分析
- Targeting,Positioning
- 4P
上記のようにBtoBでもマーケティングの根本は共通です。ただし、BtoB独特の特徴やフレームワークもあります。以下BtoCとは異なる部分について説明します。
BtoBマーケティングの特徴
BtoBマーケティングの特徴を示します。
組織で購買意思決定がなされる
マーケティング戦略を考えるうえで重要な分析に購買意思決定プロセスがあります。BtoBとBtoCでは、購買意思決定プロセスに大きな違いがあります。
プロセスが異なる根本的な理由は、「個人と組織」の違いです。BtoCは個人で意思決定しますが、BtoBは企業、つまり組織です。組織の合意形成をとらなければいけないので必然的にBtoBの方が購買意思決定プロセスが複雑になる傾向があります。
購買意思決定は経済合理性で決まる
BtoBの対象は営利企業です。営利企業である限り利益をあげることが絶対条件です。よって、意思決定は「好き・嫌い」などの情緒的価値ではなく経済合理性で判断されます。要は「儲かるか」です。
【稟議書】経済合理性を組織的に担保するシステム
BtoBの購買意思決定でも担当者個人の好き嫌いなどの要素は影響します。ただし、企業には経済合理的意思決定を担保するシステムが存在します。それが「稟議書」です。
社内規定で明確に規定された稟議書承認の仕組みにより、経済合理性が担保されます。
【参考】稟議書とは
営業戦略の比重が高い
マーケティング施策のフレームワークに4Pがあります。そのうちプロモーション活動はPR活動・広告活動・SP活動・セールス活動の4つに分かれます。
BtoBマーケティングでも4つの活動を行います。ただし、圧倒的にセールス活動、営業活動の比率が大きいのがBtoBの特徴です。よって、BtoBでは、プロモーション戦略=営業戦略といってもよいでしょう。
BtoBマーケティングのフレームワーク
BtoBマーケティングは、本質はBtoCマーケティングと同じと書きました。しかし、BtoBマーケティングにだけ使うフレームワークはいくつか存在します。BtoBマーケティングフレームワークを紹介します。
6C分析
マーケティング環境分析フレームワークに3C分析があります。市場(Costomer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つのCをとって3C分析です。
BtoBの環境分析で重要なのは顧客の顧客の存在です。そのため自社からみた3C分析と顧客企業からみた3C分析。2つの3C分析をしなければいけないため6C分析といいます。
DMUマップ
Decision Making Unitを略してDMUと言います。日本語では意思決定関与者といいます。意思決定関与者の多いBtoBマーケティングでは、DMUをマップとして整理し、関係者の共通言語として使うのがおすすめです。
ある製造業のDMUマップ実例を下記に示します。
【参考】DMUマップとは
BtoBマーケティングで難しいこと
BtoBマーケティングの特徴、フレームワークを説明しました。では、実際に企業がBtoBマーケティングを行っていくうえで難しいことはなんでしょうか?
BtoBマーケティング人材がいない
BtoB企業では、マーケティング部門は超少人数です。1万人規模の大企業でも10-20人程度。商品開発部門がマーケティング機能もになっていることも多いです。
そのため、BtoB企業のマーケティング部門では本質的なマーケティング活動にあまり時間を割けない、人材育成が難しいなどの難点があります。
マーケティングデータ入手が難しい
BtoBマーケティングの特徴の一つは、マーケティングデータの入手が難しいことです。たとえば、消費財であれば「30代男性の人口」など基礎的な定量データはインターネットを調べれば入手可能です。一方、BtoBでは、顧客の母数でさえ定量データがなく類推で求めることもしばしばです。
また定性データ入手もBtoCより難しい場合が多いです。対象が消費者の場合、ネットリサーチ会社を利用しで1000人のデータを数日で入手することができます。一方、BtoBでは、顧客ニーズなど重要なマーケティング情報を対面で入手します。これが、BtoBで営業戦略が重要な理由の一つです。
(文責:プロジェクトファシリテーター 海老原一司)
(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原一司)
(参考)関連記事まとめ
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ニーズ
環境分析
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PEST
3C
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基本戦略(STP)
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マーケティング・ミックス(4P)
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Product
Price
Place
Promotion
(参考)企業研修プログラム
マーケティング研修プログラム
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課題解決型 営業研修
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ニーズヒアリング研修
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