新規事業の成功確率。成功より失敗が多いことを覚悟する

新規事業の成功確率。成功より失敗が多いことを覚悟する

「新規事業立ち上げ」に興味があるだろうか。
「大変だがやりがいがありそう」「チャンスがあれば挑戦したい」と考えるビジネスパーソンも多い。
それ自体は否定しないし、すばらしいことだと思う。
 
20年以上プロジェクトマネジャーやコンサルタント、講師の立場として多くの新規事業に関わってきた。
新規事業立ち上げの光と影は影の方がずっと大きい、というのが私の実感だ。
しかし、甘く見積もっている人が圧倒的に多い。
個人にも会社にも客観的な意思決定をしてもらいたく、この記事を書く。
 

新規事業立ち上げ成功・失敗確率認識のズレ

新規事業立ち上げの光と影は影の方がずっと大きい。
一つ目は成功確率の認識のズレだ。
 
新規事業立ち上げ成功確率は10%と言われる。
「成功するまで10回挑戦すればよい」と考える人もいるだろう。
新規事業プラン作成の話をしているなら、その通りだ。
ベストなプランができるまで10回挑戦したらよい。
 
ただ、新規事業立ち上げ成功確率10%とはよいプランができる確率ではない。
作ったプランを実行して事業が軌道に乗る確率だ。
この成功確率の定義が勘違いされていることが多い。
 
プランを作るだけなら数ヶ月の単位だ。
しかし、新規事業の成否を見極めるには、最短1年できれば3年必要だ。
30年新規事業だけに捧げたとして、成否を見極められる事業の数が10個。
生涯を掛けても新規事業立ち上げ成功体験が1つあるかどうかという計算だ。
たった1回の成功を味わうために30年必要なわけだ。
 
本の中の新規事業立ち上げ物語は、苦難はあるが最後は成功して終わる。
「失敗しました、以上」では、書籍として成り立たないので当然だ。
成功物語ばかり読んでいると苦労はしても、最後には成功すると思い込む。
ここにも勘違いのタネがある。
新規事業の成功確率が低いと聞いたことはあっても、自分の事業は例外だと信じ込んでしまうのだ。
この過度な楽観主義で、安易な計画を立て事業を潰してしまったプロジェクトマネジャーを何人もみてきた。
新規事業に必要なのは、冷静な楽観主義だ。

新規事業失敗時の辛さ認識のブレ

新規事業立ち上げの光と影は影の方がずっと大きい。
もう一つが新規事業立ち上げの苦労の内容だ。
 
新規事業は忙しいというのはよく言われる。
どの会社でも新規事業チームは、既存事業チームより遅くまで仕事をする。
特にリリース前は、土日関係なく働く。
 
ただ、あえていうが、忙しいだけなら大した苦労ではない。
新規事業が忙しいのは当たり前だ。
成功しつつある事業にはメンバーを元気にする力がある。
山ほど仕事があっても顧客対応や商品改善など前向きな仕事が多い。
メンバーも成功に向かって協力的だ。一丸となっている。
 
成功が見えない新規事業の苦労を体感したことがあるだろうか?
事業が順調ならは忙しくとも疲れるのは肉体だけだ。
事業が不調ならば心身ともにヘトヘトになる。
 
体験した中で一番ひどいのは事業開始3年目だ。
事業開始1年目はみんなが希望に燃えている。
成果が出なかったとしても楽観的になれる。
担当役員は「俺は長い目で見ているからな」という。
既存部署も親切だ。
 
事業成果が出ない新規事業の3年目はひどい状態になる。
メンバーのやる気は最悪だ。
 
この3年で考えられるあらゆる手は打っている。
もう有効な手がない。
しかし、昨年の売上実績の100倍違い売上目標だけがある。
メンバーは理屈なし、力業だけで、売上を上げようと奮闘する。
 
心の中では誰も目標達成できるとは思っていない。
しかし、やらなければいけないからやる。
当然忙しい。しかし成功事業と違ったネガティブな忙しさだ。
心身ともに疲弊する。
倒れる人、会社に来なくなる人も出てくる。
 
メンバー同士の会話もとげとげしい。
責任の押し付け合いも起こる。
困っている人がいても助けなくなる。
 
既存部門の対応も変わってくる。
1年目は協力してくれても、元々あった不満が爆発する。
「大して売上もないのに、うちに迷惑かけるな」
「うちが稼いだ利益を浪費するお荷物」
いわれ放題である。
 
3年目終盤、メンバー全員が心身ともに疲弊し、放心状態のようになっているところに、最後のダメ押しがくる。
部門の解体である。
メンバーはちりぢりになる。
担当役員は「発展的解消」といった体の良い言い方をする。
ストレートにいうなら、事業が潰れたのである。

最後に

もちろんこの失敗から学べることは大きい。
ただ、とてもつらいものである。
そして、新規事業で生きていくのなら失敗体験だけでは厳しい。1回は成功体験が必要だ。つまり成功するまでチャレンジし続けねばならない。
 
新規事業立ち上げの光と影は影の方がずっと大きい。
それでも立ち向かう覚悟がある人のみ、チャレンジすることをオススメする。
 
この記事を読んでも、まだ新規事業立ち上げに挑戦したい。
そんな勇気がある人を応援したい。

(文責:プロジェクトファシリテーター 海老原一司)

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