社内調整7つの裏技:新規事業で鍛えた社内政治に勝つ方法

社内調整7つの裏技:新規事業で鍛えた社内政治に勝つ方法

ダークサイド・スキル -本当に戦えるリーダーになる7つの裏技」という本があります。本書は、著者の経営共創基盤パートナーの木村尚敬氏が、全社経営改革、企業再建などの経験から現場を動かすためにビジネスリーダーに求められるスキルをまとめたものです。

筆者は、新規事業開発の現場で20年間いかに社内政治を突破して組織を動かすか、リソースを勝ち取るかを常に考え実行してきました。転職後1年で所属していた新規事業企画部署が崩壊(※)。そこから3年で事業展開をして売上を100倍に伸ばしたこともあります。

そのためには、正論だけでは突破できない社内調整の裏技。筆者なりの「ダークサイド・スキル」を身につける必要がありました。

本記事では、「社内調整7つの裏技:新規事業で鍛えた社内政治に勝つ方法」として、20年間のプロジェクトマネジメントで培ったエッセンスを整理しました。

 ※『「よくある」新規事業立上げの修羅場の話』参照

※ 本記事は、過去の筆者作成記事を再編集したものです。

社内調整の裏技① 相手が意見を持つ前に、こちらの意見を出す

相手の意識の隙を突く社内調整の裏技です。「相手が意見を持つ前に」先に明確な自分の意見を言います。その時点で社内調整は、あなたが有利です。

たとえば、次の会話ができたら、あなたの意見はすでに半分通っています。
(あなた)「今年の目標は売上9億円にしようと思います。」
(上司)「1億円は上乗せして10億円にしよう。」

先に意見を持っていなければ、相当な経験とスキル持った方でない限り「売上目標9億円」に引きずられます。

社内調整の裏技 ② 「やりたい」で押す

「自分の持っている論拠が弱いとき」「他の案に相手が強い意志を持っていないとき」に有効な社内調整の裏技です。

「前提条件がかみ合わず客観的な根拠が通じない」、または「現時点では、強い根拠は示しようがない」

新規事業推進場面などで、こんな状況はありませんか? 新しいことにチャレンジするのですから、強い根拠を示すことが難しいのは当然です。客観的な根拠を使った説得が難しときは、個人の主観的な根拠を使います。

「難しいのはわかっています。しかし、どうしてもやりたいです」

相手が他に思い入れのある代替案を持っていない場合、意外とこれで、社内調整を通ってしまったことが何度もありました。

なお、この社内調整の裏技のポイントは、「提案者がやりたいと思っているということ自体は否定しようがない」ということです。

社内調整の裏技③  忘れた頃に再提案

自分と他の人間との記憶力・意思力の差をつく 社内調整の裏技です。

「社内調整に失敗ししたが、もう一度チャンスはないか。」あるときリベンジジチャンスに気づきました。

それは、「自分は以前の会議で社内調整しようと議論した内容を覚えているが、他の会議参加者はあまり覚えていない」ことです。先週の会議の結論を、「会議参加者10人中私一人しか覚えていない」こともありました。自分ごとでない議題については、その場の雰囲気で反対し、自分が発言した内容すら覚えていない人は多いものです。

具体的には、以下のように自分と他人の「記憶力」「意思力」の差をついて、社内調整します。

たとえば、ある会議で自分の意見が否決されたとします。その時は空気を読んで一旦引きます。しかし、半年後などみんなが忘れたころに、もう1度同じ意見を会議でいいます。意外と通ります。会議参加者は、以前の議題を忘れているのです。

この社内調整力の裏技に熟達してきた筆者は「今回の会議で社内調整は無理そう」と、判断したら粘らず引いていました。なぜなら、粘ると反対意見が相手の記憶に強く残ってしまうからです。そして、次の社内調整チャンスを残します。

社内調整の裏技④ 一度にたくさん通して隙を突く

意見の物量で相手の意識を分散させて意見を通す社内調整の裏技です。

具体的には、「社内調整で通したい内容を、会議などで一度にたくさん提示します。」どさくさにまぎれて、複数の内容を社内調整してしまいます。

たとえば、議論の論点を事前にあまり示さず、会議の場で「詳細なサービス仕様書案」をいきなり提示します。

すると、相手は大抵自分が気になる特定のポイント「だけ」ついてきます。そのポイントだけ戦って、少しゆずり会議を終了します。すると、自然と他の社内調整要素は全部通っています。

社内調整の裏技⑤ キーマンをピンポイントで落とす

「相手の意思決定に大きな影響を与える人を、先に落としてから社内調整する」という社内調整の裏技です。

上司などに、社内調整しようと、意見を聞くと「あの人は、なんといっている?」と役員など特定の相手の意見を気にする人がいます。そのとき「相手の意見に影響を与えそうな人」を先に落としておきます。

調整相手が気にする人は大きな権限をもった方、声の大きい方です。落とすのは大変ですが、方向性のOKをもらう程度でよいでしょう。影響力の強いキーマンに先に大枠の承認をもらいます。その後「この件、●●さんには了承いただいています」と伝え社内調整をします。

社内調整の裏技⑥  ひたすら譲らない

「自分の持っている論拠が弱いとき」「他の案に相手が強い意志を持っていないとき」に有効な社内調整の裏技です。

やり方は、単純。「ひたすら頑固に意見をゆずらない。」だけです。

具体的には、少しでも相手に折れる隙がありそうなら、ひたすら粘ります。そうすると、思い入れのない案件では、折れる相手も多いのです。粘ったもの勝ちです。

新規事業には情熱が大事だと言われます。筆者が提言するのは、いわゆる情熱だけではなく、計算して粘ること。上相手と案件内容によって、どの社内調整なら粘るべきか、あるいあ粘らないかを、戦略的に見極めて実行します。

社内調整の裏技 ⑦ 言わずにやってしまう

どうしても社内調整が難しかったときの最後の手段を紹介します。それは「社内調整しない」でやってしまうという荒技です。

たとえば、事業戦略の基本方針の承認は、通常「複数の上級役職者」の説得が必要です。もちろん、正面から納得を得るのが社内調整の王道です。しかし「どうしても説得が困難そう。」「事業に精通した自分からみて、明らかに失敗しそうな基本方針に変更させられそう」なときがあります。

このときは、戦略の基本方針では、自分の中ではブレない基本方針を持っておきます。サービス仕様、プロモーションの表現などの戦術レベルの作業は、戦略基本方針に沿って作成します。

あえて戦略基本方針は社内調整しない。こっそりと戦略を実行し、結果を出し少しずつ賛同者を増やす裏技です。

まとめ

ビジネスで成功するには組織を動かす必要があります。このとき新しいことを始める、やり方を変えるとき、善悪に関係なく抵抗してしまうのが人の性です。

新規事業を推進するには、既存事業の抵抗に遭うのは当然です。これらの抵抗を突破するには正論をいう、正しい戦略を立てるだけでは足りません。人の心理や社内政治の流れを踏まえた「ダークサイドスキル」「社内調整の裏技」も必要です。

新規事業開発、社内変革など7つの社内調整の裏技を取り入れてみてください。

(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原一司)


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