ロジカルシンキング講師の海老原です。
数ある戦略本の中で私が最も好きな本が戦略論の大家リチャード・P・ルメルトの「良い戦略、悪い戦略」です。お手軽なフレームワークの解説は一切なし。マイケルポーターなどの特定の理論、フレームワークを解説した本。5F、VC、基本戦略などの基礎理論を広くカバーした本とは一線を画します。
「良い戦略、悪い戦略」は、噛めば噛むほど味が出る本です。筆者はこれまで10回ほど読んでいます。実務で事業戦略立案するときは読むと毎回ヒントがもらえます。
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1.「良い戦略、悪い戦略」の特徴
本書は、類書と一線を画した唯一無二の戦略本だと思っています。
お手軽なフレームワーク説明なし。戦略の考え方を学ぶ
本書には、3C、VC、5Fなどの有名なフレームワークの解説が一切ありません。よってこのフレームワークに当てはめれば簡単に戦略が作れる、示唆が得られるような本ではありません。
著者は、第4章で穴埋めテンプレート式の戦略立案が悪い戦略がはびこる原因の一つであると指摘。安易なフレームワーク適用に警鐘を鳴らしているように思えます。
本書で示されるのは、汎用的な戦略立案の考え方です。穴埋め式でお手軽な回答は得られない。一方、どんな業界、どんな状況でも使える示唆が満載の本です。
ルメルトの豊富な戦略コンサルティング事例の提供
汎用示唆を提示しつつ、具体的な事例が満載であることが本書の特徴の一つです。もちろん豊富な実例を載せた類書は数多くあります。ただし、事例の多くは公開情報やインタビューなどをまとめて著者の独自見解を加えたものです。
本書の事例の多くは、具体的な企業名や個人名を出しつつ、ルメルトが実際にコンサルティングアドバイスをした実例が掲載されています。一般に、コンサルティングした内容は機密が原則でその情報が公開されることはありません。本書では、企業経営者や国家の要人と著者との生々しい会話が満載。これが許されるのは、戦略理論の大家ルメルトならではでしょう。
2.「良い戦略、悪い戦略」目次
第1部 良い戦略、悪い戦略
- 第1章 良い戦略は驚きである
- 第2章 強みを発見する
- 第3章 悪い戦略の四つの特徴
- 第4章 悪い戦略がはびこるのはなぜか
- 第5章 良い戦略の基本構造
第2部 良い戦略に活かされる強みの源泉
- 第6章 てこ入れ効果
- 第7章 近い目標
- 第8章 鎖構造
- 第9章 設計
- 第10章 フォーカス
- 第11章 成長路線の罠と健全な成長
- 第12章 優位性
- 第13章 ダイナミクス
- 第14章 慣性とエントロピー
- 第15章 すべての強みをまとめる -NVIDIAの戦略
第3部 ストラテジストの思考法
- 第16章 戦略と科学的仮説
- 第17章 戦略思考のテクニック
- 第18章 自らの判断を貫く
3.「良い戦略、悪い戦略」解説記事シリーズ
本書のトピックごとに解説記事を執筆しています。
「第5章 良い戦略の基本構造」の解説記事
「第7章 近い目標」の解説記事
「第9章 設計」の解説記事
(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原一司)
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