問題解決プロセス

問題解決プロセス活用のコツ|問題解決スキル

ロジカルシンキング講師の海老原です。

ロジカルシンキングの2大活用ポイントは、コミュニケーションと問題解決です。

問題解決プロセスには、ある程度定型化されたステップがあります。一方、問題解決プロセスを学んでも、実務で活かせている方は少ないでしょう。

本記事では、問題解決プロセスの基本と実務活用のポイントを解説します。

問題解決プロセスとは

問題解決プロセスは次の5ステップで表されます。

  1. 問題発見
  2. 問題定義
  3. 問題特定
  4. 解決策立案
  5. 解決策実行

問題解決プロセスの用語はシンプルです。ただし、筆者のロジカルシンキング講師経験上、各ステップで何を行うかのイメージが具体的に思い浮かびにくい場合が多いようです。

問題解決プロセスを、もう少しわかりやすく追記したのが次の図です。

問題解決プロセス:追記
  1. 何か問題?(Something Wrong)
  2. 何が問題?(What)
  3. どこが問題?(Where)
  4. 何する?(How、Action Plans)
  5. やる(Actions)

問題解決フレームワーク:What→Where→How

一番わかりやすいところからいきましょう。

問題定義では、「何が問題か?」を規定します。英語ならWhatです。
次に問題特定では、「どこが問題か?」を規定します。英語ならWhereです。
次に解決策立案は「何をするか?」を規定します。英語ならHowです。

What(定義) → Where(特定) → How(立案)
この思考の流れは覚えやすいと思います。

定義の前に発見

何らの課題を解決するには、まず問題定義が必要です。

ただ現実を考えると、定義するまでが一苦労です。

定義の前のステップが問題発見です。日本語では「何か問題?」、英語では「Something Wrong」です。

つまり「明確に言語化はできないが、何か課題があるような気がする」「どこか違和感がある」という状態です。特に実務上は、明確に言語化できない違和感、課題感から始まることが多いでしょう。

実行の前に解決策立案(Action Plans)

「What→Where→How」のHowは解決策立案です。注意すべきは、次の解決策実行との違いです。

解決策立案は英語で言うとAction Plansです。つまり解決策立案は実行のためのプランを作ることです。

問題解決プロセスをダーツで例える

もう一つ問題解決プロセスを身近な行動に例えてステップを説明します。次の図はダーツを行うための思考のステップです。

問題解決プロセス(ダーツ)
  1. 「なにか的かあるな」(何の的かはわからない)
  2. 「これはダーツだな」(競技がわかる、定義される)
  3. 「高得点はここだな」(分解しどこを狙えばよいかわかる)
  4. 「この矢が良さそうだ」(得点が取りやすい手段がわかる)
  5. 「あとは信じて打て」(プランを信じて実行する)

「問題定義」プロセスのポイント

  • 発見した問題を言語化・明確化
  • 誰でもわかる、誤解ない形にしてメンバーに共有
問題定義

問題再定義

  • 現実の問題は一発では定義困難
  • 仮定義した問題を解くべき問題、解きやすい問題に再定義

再定義の視点

  • 上位の課題は? 下位の課題は? 課題レベルの上げ下げ
  • 課題の視点を変える(誰の視点でみるか?) lこの問題が解決したら状況は良くなりそうか? lこの時点で解決できるか?を脇に置くのがコツ l誰が読んでもズレなく同じ問題と認識するか?

「問題点特定」プロセスのポイント

  • いい問題定義ができたら、「どこに問題があるか?」を特定
  • ここに手を打てば問題が解決しそうという「押しボタン」を探す
問題点特定

問題点特定とは

問題特定= 分ける + 選ぶ

分けると選ぶ

分ける

売上の分解

選ぶ

分けるのあとは選ぶです。手を打つのに最も効果的な箇所を選びます。

「業績が伸び悩んでいる若手営業A君は何を改善すべき?」

分けて選ぶ

「1人当り売上」5つに分解した「引合い数」「案件化率」「受注率」「商品単価」「取引数量」を、それぞれ全社平均と比べます。

すると「案件化率」の差が最も大きいことがわかります。よって「引合いを案件化するフェーズで課題があるのでは?」という仮説が立てられます。

「解決策立案」プロセスのポイント

最も効果のある押しボタンに手を打つ。

解決策立案

解決策はAction Plans

  • 計画であって実行ではない
  • 構造的に複数のプランから構成される

解決策は仕組みで考える

  • 特定した問題点が動く仕組みを押さえてプランを立てる
  • 解決策にも閾値がある

「解決策実行」プロセスのポイント

アクションプランを実行する

解決策実行

解決策実行とはAction Plansを行うこと

  • プランがあっての実行。行き当たりばったりはNG
  • 目標だけではプランではない

頑張るのは実行ではなく分析

  • 問題解決プロセスで圧倒的に労力がかかるのが「実行」
  • 実行の前に考え抜く。特に問題定義、問題点特定
  • やりながらPDCAで改善できるのは解決プランまで

成果には閾値がある

  • 解決策実行は一定以上労力を投入しないと成果がでない
  • 当初はマイナス。プラスになる前に潰れる改革も多い

計画通り実行できるかはプラン次第

  • 大きな課題では綿密なプランが不可欠
  • 浸透方法、運用の仕組み、チェックの仕組み
  • 多くのAction Plansが末端で消える
  • 意外に多いのは「Action Plans」が多すぎて実行できない


(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原 一司)

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