論理的な文章の書き方

論理的な文章の構造化トレーニング(例題と解答付き)

ロジカルシンキング講師の海老原です。

筆者は受講者の仕事のメールを課題にして個別添削トレーニングする、一風変わったロジカルシンキング講座を行っています。

論理思考のポイントの一つは構造化すること。そして日常の仕事でロジカルシンキングを最も活用しやすい場面は、日々のメールなどで論理的な文章をしっかり構造化して書くことです。

本記事では、論理的な文章を書くこと、特にしっかり構造化を行うためのトレーニング方法について解説します。

1.ロジカルシンキングと構造化

ロジカルシンキングは煮詰めると次の3つだけを押さえれば使いこなせます。

  • 目的を押さえ続ける
  • 構造化して考える
  • 「要は」「例えば」を使いこなす。「主張」と「根拠」のセットを使いこなす

このうち構造化はロジカルシンキングの基本中の基本です。スキルをあげるには使い続けるしかありません。しかし、なかなか日々の仕事でトレーニングする機会はないのではないでしょうか。

最高の構造化トレーニングは仕事で論理的な文章を書くこと

なぜロジカルシンキング講座でメール文を課題に使うか。論理的な文章を書くことが、最高の構造化トレーニングになるからです。

メールは多くのビジネスパーソンがほぼ毎日仕事で使っています。メールを使って論理的な文章を書くことで、日々の仕事を構造化トレーニングの場にすることができます。

2.論理的な文章と構造化トレーニング例題 (問題文)

論理的な文章を作成し構造化スキル向上させるトレーニング例題を示します。

論理的な文章と構造化をマスターするには、実際に文章を書いてみることが重要です。

次の文はロジカルシンキング講座の第1回で使っているトレーニング例題です。問題文を読んで10分間で実際に構造化された文章を書いてみてください。

あなたはある商品の営業担当者です。

現在あなたはA社に定価100万円の商品Bを提案中です。あなたは、定価100万円の商品Bを値引きして60万円で販売したいと考えています。

しかし、商品Bの100万円から60万円への値引きは、担当者である、あなたの決裁権限を超えています。そのため、あなたは上司であるTマネージャーを説得しなければなりません。

Tマネージャーに対して、100万円商品を60万円で提案する承認をもらうための「説得の文章」を作成してください。なお、前提はある程度自分で設定してかまいません。

ロジカルシンキング研修第1回演習問題

3.論理的な文章と構造化トレーニング例題 (模範解答例)

論理的な文章と構造化トレーニング問題の模範解答例を示します。自分の解答と比べてみてください。

Tさん、A社提案の件が大詰めになってきたので、相談させてください。
定価100万円の商品Bを提案しています。これを40万円値引きして60万円で販売することを承認いただけませんか?

承認いただきたい理由は以下の3つです。

60万円なら競合のC社に勝てそうです。C社は商品Bと機能はほぼ同等の商品を70万円で見積を出しています。

次に、お客様担当者のDさんは、60万円ならうちの商品で通せそうだと言っています。上司のE課長も価格が社内説明できれば、うちとの付き合いを優先したいようです。

最後に、B商品の売上原価は50万円なので60万円で販売しても利益がでます。今回の商談の利益は下がってしまいますが、商品Bの導入に関連して今年中に何件か追加商談ももらえそうです。

以上、A社向け商品Bの値引きについて承認ください。

ロジカルシンキング研修第1回演習問題模範解答例

4.論理的な文章と構造化トレーニング例題 (解説)

論理的な文章と構造化トレーニング例題について解説します。

すべてのビジネス文章は主張があるべき

まずビジネス文章の大前提です。ビジネス文書、ビジネスメールは、基本的にすべて主張が含まれています。

厳しく言えば、主張のない文章は独り言と同じ。ビジネスにおいて目的のない独り言を相手に伝えてはいけません。

論理思考で主張を構造化

全体の論理の構造化は、メインの主張とそれを支える3つのサブの主張で構成されます。

論理的な文章の書き方(基本の構造化)

メインの主張(要は)は「定価100万円の商品Bを提案しています。これを40万円値引きして60万円で販売することを承認いただけませんか?」です。

サブの主張(サブ要は)は、この値引きを許可すべき3つの理由となっています。メインの主張を3つの理由で支える構造化が行われています。

ロジカルシンキングのマジックナンバーは「3」

理由は3Cで構造化されています。顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3Cは営業商談意思決定判断の構造化に使いやすいと考えました。

3C以外にも構造化の枠組みは考えられます。ただし、「3つ」は論理的な文章のマジックナンバーです。ロジカルシンキング熟練者の経験則としては納得感のある構造化を作りやすいのが「理由は3つ」です。

構造化された文章を書く

値引き説得の論理を3Cを使って構造化しました。次に、ロジカルシンキングフレームワークのピラミッドストラクチャーに近い形で論理構造を図示します。

「要は」と「サブ要は」で構造化

「要は」「サブ要は」を構造化したが次の図です。

論理的な文章の書き方2

構造を段落へ落とし込む

「要は」とは、要約です。まず文章全体で言いたいことを数行でまとめます。メールならできれば1行、長くても3行までです。

サブの主張は1つの主張につき1段落でまとめるのがわかりやすいでしょう。このとき段落ごとの要約が「サブ要は」です。「サブ要は」では、段落ごとの言いたいことを一言でまとめます。

文章の全体像は、次のように冒頭の段落+3段落の合計4段落で構造化されます。

論理的な文章の書き方3


「要は」と「たとえば」のセット

論理的な文章は、主張と根拠のセットで構成します。たとえば、1段落目の主張と根拠は次のようになります。

【主張1】60万円なら競合のC社に勝てそうです。
【根拠1】C社は商品Bとほぼ同等機能の商品で70万円の見積を出しています。

今回の解答例では、理由であるサブの主張が3つあります。よって、主張と根拠の3セットで構造化する必要があります。

ロジカルシンキングと構造化2

なお、主張と根拠は「要は」と「たとえば」で言い換えられます。

論理的な文章の書き方としてPREPという型があります。PREPは、Point,Reason,Example,Pointの頭文字です。Reasonが「サブ要は」、Exampleが「たとえば」に対応します。

構造化された論理的文章

トレーニング例題模範解答の文章の構造化をより見やすく補足したのが次の図です。

論理的な文章の書き方5


いかがでしょうか。見た目からわかりやすく構造化されていることが読み取れると思います。

5.論理的な文章は目的を押さえている

ロジカルシンキングの実践に必要なことは、「目的を押さえ続ける」「構造化して考える」「『要は』『たとえば』を使いこなす」の3つであると書きました。

このうち論理的な文章における目的の役割について解説します。

目的が押さえられていないと構造化も台無し

トレーニング問題の目的は「上司にB社向け値引きを説得すること」でした。

たとえば、説得すべきこと(主目的)が「値引き」ではなく「納期調整」のだったとします。このとき目的に合わせて主張すべきこと、必然的に文章の論理構造も変わります。

目的がずれていれば、本来の目的(納期調整)を達成できません。いくらきれいな論理構造の文章を書いたとしても、目的が押さえられていないと苦労が水の泡になります。

ロジカルシンキングではすべての文に目的があるべき

ロジカルシンキングを使った論理的な文章では、1文1文のすべてが目的を反映しているべきです。逆にいえば、「目的のない文は書かない、削除すること」が、論理的な文章の書き方の基本です。

なお、メール作成で書くべきか判断を迷うのが「前置き」でしょう。前置きにも論理的に考えた目的を設定すべきです。解答例の前置き「Tさん、A社提案の件が大詰めになってきたので、相談させてください。」は、切迫感を伝えマネジャーの判断優先度を上げてもらうことを狙っています。

(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原 一司)


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