論理的な文章の書き方

ロジカルシンキングで構造化された文章を書くトレーニング

ロジカルシンキング講師の海老原です。

私は受講者の実際のメール文を課題にして個別添削トレーニングする、一風変わったロジカルシンキング講座を行っています。
本記事では、ロジカルシンキングで構造化された文章を書くトレーニングについて解説します。

ロジカルシンキングとは

ロジカルシンキングは煮詰めると次の3つだけを押さえれば使いこなせます。

  • 目的を押さえ続ける
  • 構造化して考える
  • 「要は」「例えば」を使いこなす。「主張」と「根拠」のセットを使いこなす

今回は「構造化」について解説します。

構造化された論理的な文章を書くことでロジカルシンキングを学ぶ

なぜロジカルシンキング講座でメール文を課題に使うか。構造化された論理的な文章を書くことが、ロジカルシンキングの最高のトレーニングになるからです。

毎日できるロジカルシンキングトレーニング

ロジカルシンキングでオススメなトレーニング方法が、論理的な文章を書くことです。
特にメールは多くのビジネスパーソンが毎日のように使っているでしょう。
メールを使って論理的な文章を書くことで、毎日ロジカルシンキングのトレーニングができます。

ロジカルシンキングで構造化された文章を書く例題

ロジカルシンキングと構造化を学ぶためのトレーニング問題を示します。

【論理的な文章の書き方】トレーニング問題

論理的な文章の書き方をマスターするには、実際に文章を書いてみることが重要です。
次は、私はロジカルシンキング講座の第1回で使っているトレーニング問題です。問題文を読んで10分で実際に文章を書いてみてください。

構造化された文章を書くトレーニング問題(問題文)

あなたはある商品の営業担当者です。
現在あなたはA社に定価100万円の商品Bを提案中です。あなたは、定価100万円の商品Bを値引きして60万円で販売したいと考えています。

しかし、商品Bを100万円から60万円への値引きは、担当者である、あなたの決裁権限を超えています。そのため、あなたは上司であるTマネージャーを説得しなければいけません。

Tマネージャーに対して、100万円のサービスを60万円に値引き提案の承認をもらうための「説得の文章」を作成してください
なお、前提はある程度自分で設定してかまいません。

構造化された文章を書くトレーニング問題(模範解答例)

Tさん、A社提案の件が大詰めになってきたので、相談させてください。
定価100万円の商品Bを提案しています。これを40万円値引きして60万円で販売することを承認いただけませんか?

承認いただきたい理由は以下の3つです。

60万円なら競合のC社に勝てそうです。C社は商品Bと機能はほぼ同等の商品を70万円で見積を出しています。

次に、お客様担当者のDさんは、60万円ならうちの商品で通せそうだと言っています。上司のE課長も価格が社内説明できれば、うちとの付き合いを優先したいようです。

最後に、B商品の売上原価は50万円なので60万円で販売しても利益がでます。今回の商談の利益は下がってしまいますが、商品Bの導入に関連して今年中に何件か追加商談ももらえそうです。
以上、A社向け商品Bの値引きについて承認ください。

ロジカルシンキングで構造化:模範解答例

論理的文章トレーニング問題の解答例について順番に解説します。

すべてのビジネス文章は主張があるべき

まずビジネス文章の大前提です。ビジネス文書、ビジネスメールは、基本的にすべて主張が含まれています。

厳しく言えば、主張のない文章は独り言と同じ。ビジネスにおいて目的のない独り言を相手に伝えてはいけません。

ロジカルシンキングを使って主張を構造化

全体の構造化は、メインの主張とそれを支える3つのサブの主張で構成されます。

論理的な文章の書き方(基本の構造化)

メインの主張は「定価100万円の商品Bを提案しています。これを40万円値引きして60万円で販売することを承認いただけませんか?」です。サブの主張は、この値引きを許可すべき3つの理由となっています。
メインの主張を3つの理由で支える構造化が行われています。

ロジカルシンキングのマジックナンバーは「3」

理由は3Cで構造化されています。顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3Cは営業商談判断の構造化に使いやすいと考えました。

3C以外にも構造化は考えられます。「3つ」は論理的な文章のマジックナンバーです。ロジカルシンキング熟練者の経験則としては納得感のある構造化になりやすいのが「理由は3つ」です。

構造化された文章を書く

3Cを使って構造化しました。ここからロジカルシンキングフレームワークのピラミッドストラクチャーに近い形で図示します。

「要は」は「サブ要は」で構造化される

「要は」「サブ要」はを構造化したが次の図です。

論理的な文章の書き方2

構造を段落へ落とし込む

「要は」とは、要約です。まず文章全体で言いたいことを数行でまとめます。メールならできれば1行、長くても3行までです。

サブの主張は1つの主張につき1段落でまとめるのがわかりやすいでしょう。このとき段落ごとの要約が「サブ要は」です。「サブ要は」は、段落ごとの言いたいことを一言でまとめます。
全体は、次のように冒頭+3段落の合計4段落で構造化されます。

論理的な文章の書き方3


「要は」と「例えば」のセット

論理的な文章は、主張と根拠のセットで構成されます。たとえば、1段落目の主張と根拠は次のようになります。
【主張1】60万円なら競合のC社に勝てそうです。
【根拠1】C社は商品Bと機能はほぼ同等の商品を70万円で見積を出しています。

今回、理由であるサブの主張が3つあります。主張と根拠のセットを3つで構造化する必要があります。

ロジカルシンキングと構造化2

なお、主張と根拠は「要は」と「例えば」で言い換えられます。

論理的な文章の書き方としてPREPという型があります。PREPは、Point,Reason,Example,Pointの頭文字です。Reasonが「サブ要は」、Exampleが「たとえば」に対応します。

ロジカルシンキングで構造化された文章

トレーニング問題解答に、ロジカルシンキングの構造化を見やすく補足したのが次の図です。

論理的な文章の書き方5


いかがでしょうか。わかりやすく構造化されていることがわかると思います。

論理的な文章は目的を押さえている

ロジカルシンキングの実践に必要なのことは、「目的を押さえ続ける」「構造化して考える」「『要は』『例えば』を使いこなす」の3つであると書きました。

最後に、論理的な文章における目的の役割について説明します。

目的が押さえられていないと構造化も台無し

トレーニング問題の目的は「上司にB社向け値引きを説得すること」でした。
目的がずれていれば、いくらロジカルシンキングで構造化してわかりやすい論理的文章を書いても台無しです。
例えば、説得すべきこと(目的)が「値引き」と「納期調整」の2つであれば、目的に合わせて主張が変わる。必然的に論理構造も目的に合わせて変わります。

ロジカルシンキングではすべての文に目的があるべき

ロジカルシンキングでは、1文1文のすべてが目的を反映しているべきです。逆にいえば、「目的のない文は書かない、削除する」のが、論理的な文章の書き方の基本です。

メールを書くうえで判断を迷うのが「前置き」でしょう。本来前置きにも論理的に考えた目的を設定すべきです。回答例の前置き「Tさん、A社提案の件が大詰めになってきたので、相談させてください。」は、切迫感を伝え判断の優先度を上げてもらうことを狙っています。


(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原 一司)


■ロジカルシンキング研修関連記事まとめ

ロジカルシンキング研修の関連記事です。