「ロジカルシンキング研修」は、自分の仕事のロジカルシンキング課題を持ち込み、毎回を講師が個人別添削することにより論理思考力を鍛える研修です。
今回は、「なぜ一般的なロジカルシンキング研修を受講しても、使いこなせない受講生が続出するのか?」「実務で使える論理思考の鍛え方とはどんなものか?」について考えます。
1.なぜ研修してもロジカルシンキングが使えないか?
私があえて講師負荷が高いロジカルシンキング研修を続けているのは理由があります。
受講者に過去のロジカルシンキング研修受講経験を聞くと毎回1名程度手が上がります。しかし、「その後、何回論理思考を使いましたか?」と聞くと1,2回、せいぜい数回のことがほとんどです。
つまり、ロジカルシンキング研修を受講しても、知識として知っただけで、全く仕事で使っていないのです。なぜ、学んだことが仕事で使えないか。それは一般的な研修がスキルを鍛えるポイントを押さえていないからです。
2.使えるスキルを鍛える3つのポイント
「究極の鍛錬(ジョフ・コルヴァン著)」には、タイガーウッズや世界的バイオリニストなど一流と言われる人々が実践したトレーニングのポイントがまとめられています。
- 業績向上のために特別に考案されている(しばしば教師の手を借りる)
- 何度も繰り返すことができる
- 結果に関してフィードバックを受けることが出来る
論理思考トレーニングが単なる知識習得で終わるか、使えるスキルとなるかは、この3つのポイントに左右されます。
2-1.業績向上のために特別に考案されている
「特別に」は「個人のスキルに合わせて」と言い換えられます。
スキル浸透には伸ばすべき部分にフォーカスした反復練習が必須です。しかし、トレーニングすべき部分は一人一人異なります。また、同じ人でも成長段階に合わせフォーカスすべきポイントは変わってきます。
つまり、個人別に特別に考案されたトレーニングが必要です。
対して、通常のロジカルシンキング研修はどうでしょう?
スキルも仕事もバラバラな受講生に対して、画一的な課題で画一的なトレーニングが行われます。もちろん講師はクラス状況に合わせた運営は行います。しかし、個人別の伸ばすべきスキルトレーニングまで考慮することは困難です。
2-2.何度も繰り返すことができる
2つ目のポイントは何度も繰り返すことができることです。知識と違いスキルは、身につくまで何度も何度も同じ課題に向き合う必要があります。
対して、通常のロジカルシンキング研修はどうでしょう?
スキルが身についたか、受講生状況にかかわらず決まったカリキュラムに沿って進みます。もちろん同じテーマを何回か複数することはあるでしょうが、個人別の課題にフォーカスしたトレーニングはできません。
2-3. 結果に関してフィードバックを受けることが出来る
スキルトレーニングには結果のフィードバックが重要です。「究極の鍛錬」では、フィードバックのないトレーニングを「カーテンでピンが隠されたボーリングのようなもの」と行っています。
ロジカルシンキングは陸上競技などと違って結果の抽象度が高い分野です。つまり、自分がロジカルに考えた結果をどう解釈すればよいかが難しい。「特別に考案され」「繰り返された」ときどきの結果に対して、適切なフィードバックがあることでスキルアップにつながります。
対して、通常のロジカルシンキング研修はどうでしょう?
20-30人の研修では、自分が考えた結果のフィードバックを講師から受ける機会はほとんどありません。フィードバックは、自分のスキルの状態にあったフィードバックである必要があります。
3.実務で使える論理思考の鍛え方
- 業績向上のために特別に考案されている(しばしば教師の手を借りる)
- 何度も繰り返すことができる
- 結果に関してフィードバックを受けることが出来る
一般的なロジカルシンキング研修では、スキルアップの3つのポイントが満たされていません。すると、知識としては知っているが仕事では使えないことになるのです。
単なる知識習得に終わらず、実務で使える論理思考の鍛え方を考え設計したのが「赤ペン式ロジカルシンキング研修」です。
3-1.業績向上のために特別に考案されている
「赤ペン式ロジカルシンキング研修」は、6人までの少人数制で自分が仕事で使った文章を題材に論理思考を学びます。
講師は全員分の課題を読み添削した上で講義に臨みます。クラスでは過去200人以上の課題添削を行った経験を元に、受講者の現在抱えるスキルギャップに絞って講義を行います。
また、講師は事前に受講者のロジカルシンキングスキル、性格、仕事の内容まで把握します。スキル以外の要素も踏まえ、提出した課題文が同じでも、誰が出したかによってフィードバックの内容を変えています。
3-2.何度も繰り返すことができる
「赤ペン式ロジカルシンキング研修」は全6回。標準カリキュラムでは、毎回「仕事のメール」を題材とします。学習ポイントを「目的」「構造化」「要は、たとえば」の3つだけに絞り、実際に身につくまで何度も同じポイントを繰り返します。
また、研修と連動して日々の業務で学習した内容を使っていくことが重要です。標準2週間ある講座のインターバル期間では、マネジャーの方と協力し、仕事の中でロジカルシンキングスキルを使う機会を組織的に増やします。
3-3.結果に関してフィードバックを受けることが出来る
「赤ペン式ロジカルシンキング研修」の最大の特徴は個別フィードバックでしょう。自分自身が書いた文章を講師が全添削して解説。不明点も納得がいくまでディスカッションします。
一般的な研修で扱うのは、仮想的な課題です。結果も解答例がいくつか出されるだけでしょう。対して、赤ペン式ロジカルシンキング研修では、自分自身の課題を題材にして議論。課題内容と受講者レベルに合わせた最適なフィードバックを行います。
過去に論理思考を学んだことがある受講生から「自分自身の課題に当てはめて学ぶことで、初めてロジカルシンキングが理解できた」との声をいただきます。
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(文責:プロジェクトファシリテーター、ロジカルシンキング講師 海老原 一司)