オンライン会議

オンライン時代の会議ファシリテータースキル

「先週あなたが出席したオンライン会議は有意義でしたか?」
「オンライン会議のファシリテーションは適切出来たか?」

世には非効率な会議がたくさんある。ほとんどの会議がオンラインになった。オンラインではリアルの以上に、会議の善し悪しの差が激しいようだ。

リアルの会議でも話がスムーズに進まないことはよくある。しかし、日本人の周りに合わせる能力でなんとかなっていた。オンライン会議でごまかしがきかなくなった。

会議の善し悪しは、ファシリテータースキルによるとるところが大きい。そこで、オンライン時代のファシリテータースキルについて考察する。

【オンライン時代のファシリテータースキル1】空気を読む力

会議ファシリテーターにどんなスキルが必要か。
オンラインとリアルで大きく差がでるのが「空気を読むスキル」だ。

会議ファシリテーションにおける空気を読むスキルとは、相手の姿勢、表情、声のトーンなどから、意見に賛成なのか、反対なのか。話したいことがあるのか。はたまた、心ここにあらずで、ぼーっとしているのか、を把握することだ。

日本人は、会議で意見をはっきり言わないことが多い。すると、会議ファシリテーターには、空気を読んで、
「高橋さん、何か意見ありそうですが、どうですか?」
「田中さんは、納得されていなそうでうですね?」
といった相手から話を引き出すスキルが必要になる。

オンライン会議で空気を読むとは

人はどうやって空気を読んでいるのか?五感だ。五感を使えないオンライン会議ではファシリテーターは空気が読めない。リアルの場に比べて、スムーズなファシリテーションができない。

「オンライン会議だから仕方ないよね」
「やっぱりフェーストゥーフェースが重要だよね」
「重要な会議はやっぱりリアルだよね」

ちょっと待って欲しい。オンライン会議では、本当に空気は読めないのだろうか。確かに難しい。難しいが空気を読むことはできる。

ファシリテーターは空気を五感で読む。視覚と聴覚はオンライン会議でも使える情報だ。音質、画質は多少落ちるが、ブロードバンド環境ではリアルと大差ない情報が得られる。

オンライン会議ではより鋭敏な空気を読む力がいる

オンライン会議でも空気は読めるのだ。ただし難しい。
オンライン会議でファシリテーターに必要なのは、より鋭敏な空気を読む力だ

実際オンライン会議でファシリテーションするとき、空気を読むことに意識を集中すると、いろいろなことがわかる。

姿勢はわからないが表情はわかる。
微妙な声のトーンはわからないが、意見に前向きかどうかはわかる。
他のことに気をとられて下を見ているのか、真剣に考えてを見ているのかの違いもわかる。

これからリモートワークは社会にどんどん定着していく。リモートでも空気を読める人がファシリテーターがいるか、いないかで会議進行に大きな差がでる。

ファシリテーターの本質は、リアルでもオンライン会議でも同じ。しかし意識して空気を読む力を鍛える必要がある。鍛えられた鋭敏な空気を読む力はリアルでも役に立つはずだ。

【オンライン時代のファシリテータースキル2】リアルタイムドキュメント化

オンライン時代のファシリテータースキルとして、もう一つ必要なのがリアルタイムドキュメント作成能力だ。

リアル会議のファシリテーターの武器はホワイトボード

議論をまとめる会議ファシリテーターの武器にホワイトボードがある。ホワイトボードを活用することで、ファシリテーターは議論を視覚的に整理し、参加者の注目を集め場をコントロールすることができる。もちろん議事録の機能としても重要だ。

このファシリテーターの7つ道具の一つともいえるホワイトボードがオンライン会議では使えない。代替サービスはあるが、現時点で、いつでも誰とでもリアルのホワイトボードと同等の使い勝手を持つ決定的ツールがない。

オンライン会議ではリアルタイムドキュメント作成を武器にする

ホワイトボードが使えないオンライン会議で、どうやって論点をコントロールし、議論の内容を見える化していくか。私がやっているのがリアルタイムドキュメント作成。ファシリテーションしながら、パワーポイントやWordに論点や議論した内容をまとめていく。もちろん単に発言をメモするだけでは不足で、議論その場で構造化していく。また論点やスケジュールを表でまとめた方がわかりやすければ、その場でEXCELで表を作る。

ファシリテーターが画面共有権をもらってしまえば、ホワイトボードより会議コントロール権限は強力である。またその場で作成したドキュメントを、そのまま即ファイルとして共有できるメリットもある。

ただ、リアルタイムでドキュメント化すること。論点を構造化しながら即座に適切な言語表現に直す能力はファシリテーション慣れしている人でも難しいだろう。特に普段、ホワイトボードに四角、丸、矢印などの図形だけでファシリテーションしている人はまとめにくいはずだ。

(文責: 海老原一司(プロジェクトファシリテーター)